4年前の米大統領選で“専門家”は二重の間違いをした

そして、従来の経済政策を踏襲するクリントンに対して、メキシコとの国境に壁を築くなどと荒唐無稽なことを言っていたトランプの「アメリカ・ファースト」政策は、グローバル経済の仕組みを破壊するものとして、万が一トランプが当選したら株価にはネガティブだ、と口々に言っていました。

結果はと言えばご存じのとおり、専門家の予想に反してトランプが当選しました。そして、彼らのご託宣に反してトランプ当選後には株価は上昇しました。専門家たちは二重に間違った訳です。

もちろん、そんな中でも、予想を的中させた人もいたでしょう。テレビに出てくるコメンテーターが、「私は最初からトランプが勝つと言っていた」などとしたり顔でコメントしているのをみて、「へぇ、この人ってすごいんやな」と思った読者も多いと思います。

しかし、これは、テレビ局がたまたま予想を当てた専門家を見つけてきて、その言葉を採り上げているにすぎません。いわばマスコミによる「後出しジャンケン」です。これは報道番組中に流れる街頭インタビューで、どんなに少数意見であっても番組側の採り上げ方によって印象を操作できるのと同じことです。

予想が当たらない構造的な原因

ここで、そもそもどうして予想が当たらないのか、について構造的に考えてみたいと思います。

まず、その専門家が企業や大学に所属するサラリーマンである場合、彼らは基本的には「無難」かつ「慎重」な予想しかしません。なぜなら、予想を当てたとしてもよっぽどのことがない限り、彼らの給料が上がったりはしないからです。反対に攻めた予想を出して大いに外した場合は、すぐさま減給になることはないものの、社内で冷たい目で見られ、そのうちに「専門家」としてのポジションから外されるのです。

都市景観の前で実業家のグループ
写真=iStock.com/metamorworks
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サラリーマン予想屋は、攻めた予想をすることのアップサイドが小さい割にダウンサイドが大きいので、真面目に予想をしようというインセンティブが湧かないのです。だから、彼らが語る新春の相場予想はほとんどが「現状の株価を中心値にした一定レンジで揉み合い」なのです。

では、その専門家がサラリーマンではなく、自分でリスクを取っているケースはどうでしょうか。例えば、著名な投資家が出す相場予想をイメージしてください。実はこれはこれで厄介です。なぜならその予想は実際に彼がとっているポジションをフォローする内容、いわゆるポジショントークになることが多いからです。簡単にいうと、彼らが「そうなってほしい」と考える「願望」です。

このように、その専門家がサラリーマンであろうと凄腕の投資家であろうと、普通の人にとって有益な予想がでてこない構造になっているのです。