脱線話は面白いものだが…

たとえばゴルフでしたら、「松山、今季メジャー初戦です」といった説明が書かれた項目表を事前にお送りし、それに対して、張本さんが自由に調べて準備をされている感じです。こちらからは、あまり余計なことは言いません。

放送前日にチーフが張本さんに電話をして、「こんな温度でしたよ」という感触は、司会の関口さんに伝えています。ですが、何に賛成、反対なのか、どこで「アッパレ」と「喝」が出るのかは、当日までわからないのです。

2019年の夏のことです。

全国高校野球選手権岩手大会の決勝戦で、当時、高校生史上最速の163キロを投げた、佐々木朗希投手を登板回避させた、県立大船渡高校の判断についてのコメントです。

「怪我を怖がったんじゃ、スポーツをやめたほうがいいよ」

と張本さんは番組内で、そう苦言を呈しました。

これに対して、さまざまな反響がありましたが、メジャーリーグで活躍するダルビッシュ有投手がツイッターで、〈シェンロンが一つ願いこと叶えてあげるって言ってきたら迷いなくこのコーナーを消してくださいと言う〉とつぶやき、ネット上で熱した議論を呼びました。

唐橋ユミ『会話は共感力が9割』(徳間書店)
唐橋ユミ『会話は共感力が9割』(徳間書店)

私は、議論を呼ぶということは、いいことだと思います。

かつてトップアスリートだった張本さんの時代の価値観があるでしょうし、現在のトップアスリートとしてのダルビッシュ選手の価値観があると思います。

以前、ビートたけしさんが、話されていましたが、いつの時代も「おまえら青二才なんかに負けるかよ」と、「おまえらの時代は終わったんだよ」という新旧世代のせめぎ合いのなかで、進化が生まれるのだと。私もそう思います。

ということで、私の話も大いに脱線しましたが、みなさんも、話が脱線してしまったときに備えて、ご自分のキーフレーズを用意しておくと、とっさのときに役に立つはずです。

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