新型コロナウイルスの影響で企業の倒産が相次いでいる。経営していた5つの飲食店すべてを閉店し、倒産を経験した福井寿和氏は「倒産しても人生は終わらない。過剰に倒産を恐れる必要はなく、やり方さえ間違わなければどん底に落ちることはない」という——。
コロナウイルスによる閉店
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「倒産=悪」ではない

新型コロナウイルス感染症が日本に上陸し、その影響でこの4月、私は経営していた5つの飲食店すべてを休業しました。そしてそのまま全店舗を閉店し、会社を清算。いわゆる倒産を経験しました。

当然、倒産は私にとって初めての経験であり、倒産を意識する前は、多くの人と同じように、「倒産=悪」というイメージしか持っていませんでした。廃業は悪いことであり、事業を継続することこそが正義であると信じて疑っていなかったのです。その先にあるのは、どん底の人生で、「倒産した経営者」のレッテルを貼られ、もう二度と表を歩けないとさえ思っていました。

2020年4月に全店舗休業し、5月上旬には倒産を決意したことに対して、多くの人から「非常に決断が早かった」と言われます。その言葉の裏には、早期の決断に対する賞賛もあれば、何か裏があるのでは? 経営者ならもっと継続を前提に考えるべきでは? といった疑問の声があると受け止めています。

そういった声が上がることは当然というか、他人の事業を外から見ていれば、誰もが抱く疑問だと思います。しかし、私がこの決断を下した背景には、これまでの会社経営で培ってきた土台と考えがあります。

そして、倒産を必要以上に怖がることはない、倒産のやり方さえ間違わなければ人生はどん底に落ちることはない。その考えを広めることで、いまなおコロナの影響で苦しむ方々に、少しでも役立つ情報が届けられたらと思っています。