紫外線の「効能」にももう少し目を向けよう

ビタミンDはすべての生物に必要な重要な栄養素であり、紫外線を浴びることで作られます。日本では紫外線の弊害のほうがメディアで取り上げられることが多く、紫外線は避けるべきものとして知られているかもしれません。特に美容に関心が高い若い女性は「美白」「美肌」志向が強く、UVカットに余念がありません。

多くの人にビタミンDが不足しているのは、こうした紫外線不足の影響が大きいのではないかと私は考えています。紫外線を避けるばかりではなく、「太陽の光を浴びる」習慣のメリットも、もう少し見直すべきではないでしょうか。

ただし、もちろん紫外線の弊害もありますから、弊害と利点とのバランスをよく考えながら、どこまで紫外線を浴びるべきか、それでも不足するビタミンDについてはサプリメントで補う、といった工夫が必要になります。

気をつける時期は紫外線が少ない「冬季」

ビタミンDは皮膚に紫外線が当たることによって作られます。ということは、紫外線を浴びる量が少なければ、当然、体内で作られるビタミンDの量は少なくなります。したがって、季節によって日照時間が長くなったり短くなったりするのに伴い、血中ビタミンD濃度にも季節性の変化があります。

図表1はボストン(アメリカ・北緯42度21分)、エドモントン(カナダ・北緯53度34分)、ベルゲン(ノルウェー・北緯60度23分)の3つの都市に住む人を対象に、ビタミンDの前駆体であるプレビタミンD3の血中濃度を1年にわたって調べたものです。

3つの都市のなかでもっとも緯度が低いボストンの人の血中ビタミンD濃度が、もっとも高くなっていることがわかります。緯度が低いほうが赤道に近く、紫外線量が多くなるからです。

また、どの都市でも12月から2月にかけてが、1年のうちもっともプレビタミンD3の血中濃度が低くなる時期であり、血液中のビタミンD濃度がもっとも下がると考えられます。

これは季節によって変動するだけでなく、1日のうちでも変化します。紫外線量の多い日中は血中ビタミンD濃度が高く、紫外線量が少なくなる夜には低くなる傾向があります。同様に晴れの日は高く、太陽の出ない曇天・雨の日は低くなります。

同じ紫外線量を浴びても、血中ビタミンD濃度や体への影響が皆同じわけではないことに注意が必要です。紫外線を浴びて皮膚で作られるプロビタミンDの濃度は、加齢とともに低下してしまいます。これはコレステロールからプロビタミンDを作るために働く酵素の力が弱くなるためと考えられています。