PRでのウソは絶対にNG

実際、プロモーション的なものって結構炎上することもあるし、うさん臭くなることもありますが、逆にファンが「いいお題をありがとう」となる案件の場合だってある。

とにかく、一番に考えるべきは、面白いかどうか。このタレントを見よう・見たい、というノリの延長線上に新しい話題として案件ネタが入ってきても、結果、受け入れる気分になってもらえればOK。だからこそ、そのコミュニティに対してアレルギー反応を起こさせないようにどう加工するか、というのがすごく大事になります。

その意味でも、ウソはユーチューブで一番、忌み嫌うべきもの。もし、過去に一度でも「チョコレートは嫌いだ」と発言したことがあるタレントの場合、チョコのプロモーション案件は絶対NG。そのウソは必ずバレます。

そして、商品紹介=ビジネスのためについたウソによって、ウソつきのレッテルを貼られて信頼関係を失います。視聴者は「このタレントとは親友だ」くらいの目線で見ているわけですから。それでもやる場合は、「VSシリーズ」のような企画にすれば、まだ可能性があります。「昔、『嫌いだ』と言いましたけど、克服してみせます」というやり方です。もちろん、内容が面白いのは必須条件です。

自身を指差す男
写真=iStock.com/SIphotography
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知名度があれば成功できるわけではない

「俳優の佐藤健がユーチューブチャンネル開設3日で登録者数100万人突破!」
「ジャニーズ退所の手越祐也、ユーチューバー転身でチャンネル登録者数100万人超」
「石橋貴明完全復活。チャンネル登録者数100万人超えの大盛況!」

こんな記事が賑わいを見せた2020年上半期の芸能界。大物タレントや俳優、アイドルによるユーチューブ挑戦と盛況ぶりがいくつも報じられ、話題になりました。ただ、こうした成功事例は目立ちはするものの、実際には少数派。その陰で、まったく話題にも上らない芸能人チャンネルが、雨後のタケノコのように乱立状態です。

また、一時的に人気を得た企画動画があってもその後が続かないなど、安定したチャンネル運営ができる芸能人は意外なほど少ない。ユーチューブでもテレビ同様に成功する芸能人と、うまくいかない芸能人とで明暗が分かれ始めています。その差はどこにあるのか、業界的にもみなさん気にしているところです。

ミュージシャンなのか、俳優なのか、タレントなのか、お笑い芸人なのか。その立ち位置によっても考慮すべき点はいくつもあります。ただ、多くの芸能人、そして芸能事務所が気づいていない点。それは、テレビとユーチューブとでは求められる評価軸が違う、ということです。