疲れて帰宅すると妻から愚痴をこぼされますよね。やれ稼ぎが少ない、やれどこどこの誰々ちゃんがどうしたとか。そんな低次元の世間話の中でも、うまく分析すれば主婦業界におけるトレンドを発掘できる可能性は十分にあります。

例えば、妻は子供向け教育番組の中で音楽に癒やされる、とか、戦隊ものの番組に出てくる若手イケメン俳優に注目していることを知る。そうした情報から子供向けの番組が、実は“子供とお母さん”の両方をターゲットにしていることに気づけるようになれば素晴らしい。

ヒット商品というものは、最初、ごく一部の尖った感性を持つ人だけが熱狂していたモノが、その後、その周辺に飛び火して大勢に伝播していき一般大衆が支持するメジャーな存在になっていくのです。実はシャ乱Qがブレークしたのもこのパターンですし、最近の若手のお笑いや韓流ブームなども同じです。

ですから、自分がヒット商品をつくりたいなら、「雑音の中の2%」と「最初のごく一部の動き」に敏感でないといけません。流行の萌芽をそこで発見できるかどうかが勝負です。

「ごく一部」の動きがそのまま、大化けしないまま、自然消滅することも多い。だからといってブームができてから「後追い」しても何のメリットもありません。大ヒットしたドラマであっても、その何カ月も前から脚本家やプロデューサーは案を練っている。ヒットしている段階ですでに賞味期限が切れかけているのです。

「幸せは地獄の一歩手前」という言葉があります。大好きなお菓子でも100個食べろと言われれば、誰もが嫌になる。何個がちょうどいいのか。無駄話に耐え、気づいたことをメモに残す地道な習慣こそがアイデアの源です。

(大塚常好=構成 岡本 凛=撮影)