購入させるための6つのハードル

次に、法人のインフルエンサーの管理不足である。先ほど述べたとおり、インフルエンサーの多くは元・一般人であり、法的知識もなければ「売れる文言」にも詳しくない。

単に「お金をあげるから宣伝してください!」とだけ依頼してしまえば、こんな投稿が出来上がってしまう。

これ、新商品の「アサイー・スペシャリテ」だって! 私も飲んでみました!
(ドリンクの写真)

これでは、アサイー・スペシャリテという「商品が存在すること」は発信できるが、このドリンクを飲むメリットが何もわからず、購入数は伸びないはずだ。

消費者が商品を購入するまでには、少なくとも以下のハードルを越えねばばならない。

(1)商品の存在が知られている
(2)商品を買うメリットがわかる
(3)その商品を買うと消費者の課題が解決される
(4)価格は妥当である
(5)安全である
(6)後回しにせず、今買うべき理由がある

顧客を見極めて直観に訴える

そして、インフルエンサーの投稿次第によってはこのすべてをクリアできるはずなのだ。改善例を見てみよう。

貧血フレンズに救世主が来たよ~! 新商品ドリンク、アサイー・スペシャリテを試してきました!

アサイーには鉄分やポリフェノールが豊富。プチプチの果実感があってオイシイし、貧血でグッタリしている私にはありがたMAX……!

1本220円と、オーガニックのスムージーなのにお得! 今月末までに私のプロモコードを入れて買うと30%OFFになるそーです! #PR
(ドリンクの写真)

このように、記載する要素をコントロールすれば、狙った相手に刺さり、購入意欲をかき立てるインフルエンサー・マーケティングが可能となる。安価(5000円~/名)でバラマキのように実施されるインフルエンサーのPR案件と異なり、ここまで統制を取ろうとすれば1人あたりのコストは上がる。

しかし、無駄なバラマキよりも、広告効果が高いターゲットへ絞ってPR依頼を打つべきであろう。手前みそで恐縮だが、以前ユニ・チャームさんとのタイアップ事例は、1.4万リツイート(拡散)という成功例となった。

これは、私のフォロワーに「コスメや下着などのキラキラしたものより、実用品で本当に役立つものを知りたい層」が集まっており、かつ実際の商品のクオリティが異様に高く、依頼された側が絶賛したため成功した事例である。

また、生理用品というよく知られたジャンルのため「その商品が何か」を説明する必要はなく、消費者全体の悩みである「生理中でも踊れるほどモレない」を訴求するだけでよかったことも幸いした。