西松屋は「社会インフラ」だと思っている

——「赤ちゃん本舗」が118店舗(10月時点)に対し、西松屋は1006店舗(10月20日時点)と約10倍の店舗数です。ネットショッピングの時代に、リアル店舗を増やし続ける狙いはなんですか。

【坂本】妊婦の方から生まれたての赤ちゃん、そして小学校高学年まで、お子さまとその家族を支えるすべての商品を低価格で、1店舗で買いそろえることができる。いわゆるワンストップショッピングを目指しているわけですが、そういった一小売業という枠を超え、西松屋は子育て世帯を支援する“社会インフラ”としての使命を持っていると考えています。そういった意味でも、店舗数は増やし続けていきたいですね。

われわれは1店舗あたりの商圏人口を10万人と位置づけています。

なぜそんな少ない商圏人口で店舗が出せるかというと、10万人のうち、リピーターとなって何度もご来店いただけるお客さまが多いからです。だからこそ、10万人商圏で店舗が維持できるんですね。

西松屋の店舗内。衣料品はすべてハンガーで陳列されている。
画像提供=西松屋チェーン
西松屋の店舗内。衣類だけではなく子育てに必要な用品を取りそろえている。

「いつでも低価格」が信頼につながる

——顧客が何度もリピートする最大の理由はなんだと思いますか。

【坂本】商品面でいうと、「エブリディ・セイム・ロー・プライス(ESLP)」が一番です。季節商品が晩期になった際にはクリアランスセールはしますが、基本的にいつでも低価格であることが、西松屋への信頼につながります。

半袖Tシャツは1枚399円。それがお客さまの頭にインプットされている価格なのに、次いらしたときに499円になっていたら、「あのときはセールだったからか」と思われてしまう。一度399円と決めたら、ずっと399円を維持する。低価格の信頼性をお客さんに持っていただくことが大切だと思っています。

これは私の予想の話になりますが、ほとんどのお客さまはご来店いただく際、あらかじめ買うものを決めた上で西松屋にお越しいただくと思うんです。なおかつ、子育て世代は時間がありませんよね。ですから、お客さまにはできるだけ短い滞在時間で気持ちよくお買い物をしていただけるよう、商品の選び方や陳列、動線というものを突き詰めて考えているんです。