国債保有割合はまだその水準にないものの増加傾向にあるし、政府債務の対GDP比は2019年度末で239%。2020年度末には250%を突破することが確実になり、260%台突入も危ぶまれる状況だ。

費用対効果が高い政策を選び、無駄な支出を抑える

これまでも、麻生財務相は時折、放漫財政を牽制する発言を続けてきた。2019年にはMMTについて、「これは財政規律を緩めるということで極めて危険なことになり得る」「日本を外国の経済理論の『実験場』にしたくない」と述べている。

こうした麻生財務相の発言は何に由来するのか。筆者は、理論的な背景や財政の現状認識は、財務省が2019年に公表した「わが国財政の現状等について」(平成31年4月17日)によるところが大きいのではないかと見ている。

この資料は平成の財政を総括するとともに、財政や国債市場の現状を解説し、FTPL(物価水準の財政理論)や政府・日銀の統合バランスシート論、MMTなどについて批判的に検証している。諸外国の財政危機についての事例紹介もある読み応えのある内容だ。

財政支出への圧力は高まるばかりであり、政府支出を正当化できる施策やそもそも政府でなければ支えられない状況に追い込まれた企業や個人も多い。そのような中、費用対効果が高い政策を選び、どれだけ無駄な支出を抑制できるか。

財政規律が緩みがちな中、財政の信認をどうやって維持するか。麻生太郎財務相の挙動に目が離せない。

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