若者が活躍しやすいウェブメディア業界

私は「若手にこそ、チャンスはたくさん与えてナンボ」「若くても実力があるなら、年齢に関係なく評価されるべき」だと考えている。その視点で、私がこれまで仕事をしてきたウェブメディア業界を眺めてみると、他の業界・業種に比べて、比較的若手が力を発揮しやすい環境になっていると感じる。

ウェブメディア業界では、47歳の私などは相当な「ベテラン」である。いや、若者が続々と参戦してくる職種なだけに、もはや「ロートル」「老害」とも解釈できる年齢になっていると思う。

私は2006年からウェブメディアに関わる業務を開始したが、この14年間、周囲では常に変化が起こり続け、さまざまなサービス、手法、概念が生み出されては衰退していく姿を目の当たりにしてきた。正直、その動きに追い付いていくだけで激しく消耗してしまうほど、とてつもなく熾烈な競争社会だった。日々、あまりにも多くのことが変わっていくので、ついに付いていくのがキツくなった。「後は若い皆さんで……」と言い残して去りたくなり、ずっと考えてきたセミリタイアを実行に移した。

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写真=iStock.com/recep-bg
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ウェブメディア業界の動向に付いていけない

ウェブメディア業界の動きの速さを整理する意味で、2006年以降、変化した事柄をいくつか挙げてみる。

・かつて800字でも「長い!」と不評だった記事の文字量は、この数年で3000文字を越えてもOKになった。
・ライターのカメラ撮影技術が上がり、「いかに上手な写真が撮れるか」も競争優位性に繋がるようになった。
・ヤフーニュースの相対的影響力が減り、「成功法則」が多種多様になってきた。
・とはいうものの。ポータルサイトとしてはヤフーの一人勝ち状態が継続中で、その他のポータルサイトの重要性が相対的に減ってきた。
・適切な記事タイトルの長さとして「16字説」「20字説」「28字説」などいろいろな変遷があったが、「別に50文字あってもいいじゃない。長いか短いかより、伝わるかどうかでしょ」といった考え方が出てきて、オッサンにはもうワケがわからない。
・タイトルの成功法則について「芸能人の具体的名前が入っている」など端的な条件設定が最近は出てきているらしい。
・とにかく競争相手が多過ぎて、今後の成功モデルを描きにくい。

こうした状況を見るにつけ「もう自分の時代は終わった!」と考えるに至ったのだ。そんな状況でロートルにできることは、後進にすべてを譲ることくらいである。そして、自分は今後「40代でセミリタイアをした男の幸せな生活」をいかにして人々に伝えていくかが使命になる……そう思うようになった。