シンプルな技術で「ほめ上手」になれる
相手に喜んでもらえる「100点のほめ方」は、誰でもできるます。たとえば、
「いい契約が結べたな」
契約をとってきた部下にこう言ったとしましょう。相手は喜んでくれるでしょうか。必ずしもその言葉で、すべての人が喜んでくれるとは限りません。
「本当に大変さをわかってくれているんだろうか……」
そう感じる部下もいるでしょう。これではまだ、「20点のほめ方」です。
そこで、具体的な行動や過程をほめてみてください。
「いい契約が結べたな」
【60点のほめ方】
「相手のニーズをここまで引き出すとは、思っていなかったよ。影で努力していた姿を見ていたし、いつか結果は出ると思っていた。何度も企画を出して、あきらめない姿を見ていると頼もしかったよ」 ←具体的にどこがほめポイントだったかを表現している
このようにほめると、相手は、「自分の頑張りをしっかりほめてもらった」と思えて、満足度がぐっと上がります。
[具体例]20点、60点、80点のほめ方と、100点のほめ方の違いとは
これで、60点のほめ方になりました。さらに、ほめる側の感情を伝えるためこう続けてみましょう。
「いままで多くの営業マンが跳ね返されてきたクライアントだったが、本当によくやった。これからも期待しているよ。わたしも勇気をもらった、ありがとう」 ←一対一の関係性を意識した感情を伝えている
このように、ほめる側の感情をこめてほめることで、部下は一対一の関係性を大切にされたうえで「ほめられた」「認められた」という気持ちが強まります。
ここまでくれば、もう80点。あと一歩です。
100点を目指すなら、生き方すべてを肯定し、ほめます。
生き方すべてを肯定するときは、「過去」と「現在」と「未来」、「その人の人生において大切な人」や「乗り越えてきた困難」などをその人の半生を振り返るような気持ちで、丁寧にほめていくのです。
「その“誠実さ”は、持って生まれたように感じていたし、ご両親の育て方が良かったんだと思う。そして学生時代のクラブで良い恩師や仲間に恵まれたんだろうな。粘り強くやり切った、本当によくやった」 ←生き方すべてを肯定し、ほめている
現在の状況をほめるだけでは、相手の一部、「点」をほめているだけにすぎません。
そうではなくて、現在、過去、生きてきた環境、未来など……、相手の存在をつくりあげてきた多くの「点」を「線」で結ぶようなほめ言葉をかけることができたら、「100点のほめ方」です。
このようなほめ言葉は、相手の心に響き、記憶にしっかり残ります。そして、相手は「自分を理解してくれている」と安心感を抱き、あなたとの間に信頼が生まれてきます。
また、このように相手のことを考え尽くしてほめると、ほめる側の記憶にも相手の良さが刻まれ、尊重し合う関係の基礎が完成します。