ちなみに、払えないまま放置していると、「延滞税」が課せられたり、過少申告したりすれば「加算税」が課税されることもあります。そのままの状態を続けていれば、財産や給料が差し押さえられることも。脱税したら、実刑に問われることもありますので、支払いが困難なら、まずは猶予の申請を。

国税の猶予の申請が認められれば、原則として1年間は、税金の支払いを先送りすることができます。ただし、多少の延滞税は課されます。

延滞税は通常、年8.9%ですが、猶予が認められれば、これが年1.6%になります。この通常の「猶予」対象者の認定は、かなり広範囲にわたりますが、さらに新型コロナウイルスの影響で収入が落ち込み、生活の維持が困難になっている人に対しては、手厚い特例が設けられています。

2020年2月1日から2021年2月1日が納付期限対象の国税については、2020年2月以降に任意の1カ月以上、前年同期に比べて2割ほど事業収入が減少し、税金を一度に全額納付することが難しい場合、所轄の税務署に申請すれば、納期の期限から1年間、延滞税が1.6%に減額され、さらに無利息になります。(「新型コロナ税特法第3条」)。

また、通常は担保を提供しなくてはなりませんが、この場合は必要ありません。

詳しくは、最寄りの税務署に問い合わせてください。国税局猶予相談センターでも相談に乗ってくれます。

税金の支払い猶予を利用する(地方税)

国税だけでなく、地方税にも、新型コロナウイルスによって収入が大幅に減少し、生活が苦しくなった人のために、税金の分割払いや支払猶予の制度があります。対象となるのは、住民税、事業税、地方消費税、自動車税など

地方税の優遇の対象となる税金は、2020年2月1日から2021年1月31日の間が納付期限のもので、向こう半年間の事業資金を考慮に入れるなど申請する人の事情が、状況によって判断されます。

これらの税金のうち、すでに納期が過ぎている未納の地方税についても、さかのぼって猶予の特例を受けることが可能です。

固定資産税に対しても猶予が設けられています。中小事業者などが所有する固定資産や事務所家屋などの固定資産税については、2020年2月から10月までの任意の3カ月間の売り上げが前年同期比よりも30~50%減少していたら、2分の1に軽減されます。また、50%以上減少していたら、新型コロナウイルス対策として改定された地方税法によって、固定資産税はかけないことになっています。

自動車については、2019年10月1日から2021年3月31日までの間に購入した自家用車(新車・中古)の自動車税環境性能割の税率が、少し安くなります。

詳しくは、最寄りの市区町村の税金窓口に問い合わせてください。