「サウナ・水風呂・外気浴」という3つの構成要素

サウナと地域活性化が結びつく大きな理由は、地方の農林、水資源、風景といった要素が、魅力的なサウナを形成する上で優位に働くからです。

たとえば、サウナをまちづくりに活かす先進地の1つである北海道は、白樺などの植生しょくせいがあるため、サウナ大国・フィンランドと同様にサウナ室の木材を地元から調達できます。

さらに、サウナ後に入る水風呂のクオリティを左右する水質も、豊かな水資源を持つ地方にとっては大きな強みになります。天然の透明度の高い水に頭まで入れるというのが評判の施設が各地に存在している。水風呂代わりに透明度の高い水質の川、湖などの自然環境を使うというアウトドア型の魅力を作り出せるのも地方だからこそです。

「海が見える、湖が見える、山が見える」といったような魅力的な景観も、サウナに入った後にくつろぐ外気浴の時間にとって、大いなる魅力になります。不動産価格も高くビルがひしめく都市環境にはない開放的な環境が、リラックスする時間を与えてくれるのです。

ただし、単に木々があり、水がきれいで、自然豊かというだけでは地方にとって稼ぎになりません。サウナユーザーに向けて、それらの自然環境を「サウナ・水風呂・外気浴」という3つの構成要素として活用することで稼ぎが生まれてくるのです。

十勝で始まった「サウナ連携」のビジネスモデル

実は地域プロジェクトで大切なのは、個別施設が単独で努力するだけではなく、エリアで適切な連携をして集積としての価値に変えていくことです。個別の努力はすぐに追いつかれてしまいますが、複数の施設が協力し面的な魅力に変えることができれば、それはかんたんにほかの地域に追い抜かれることはありません。

北海道十勝エリアでは、5つのサウナ施設が連携し「サウナパスポート」という連携事業をスタートしています。これは、1枚2500円のサウナパスポートを購入すると3つのサウナ施設を利用でき、さらにスタンプを集めると抽選に参加できるという仕掛けです。

これら5つの施設では、いずれも本場フィンランド式「ロウリュ」を楽しめます。ロウリュとは、ストーブ上のサウナストーンに水をかけ蒸気を発生させることや、蒸気そのもののことをいいます。

また、サウナパスポートは一定の要求水準をクリアした施設オーナーたちが連携しているので、単に販促というだけでなく、より高い水準の施設を目指して切磋琢磨するモデルでもあります。