全国的に蔓延し、免疫を獲得している状態

新しい感染症がやってくると、だいたい同じ形になります。人々に免疫がない間は、ウイルスにやられっぱなしで感染者だけが激増します。その後、新型コロナウイルスのように致死性でない弱毒ウイルスの場合は回復者が増加します。

その後、多数の人に蔓延していきます。この際、1カ所から他の場所に飛び火するように感染拡大をしていく時には、免疫のない人に大流行を繰り返すのでパターンAを繰り返すことになります。

ところが日本では、そうなりませんでした。数万人の死亡者が出る予定であると喧伝された第2波は、壮大に空振りしました。じんわりと感染しては、ほぼ同数が回復することが3カ月以上続いています。総数の増加は、PCR検査数の増大に過ぎないので感染形態としては同じことが続いています。

何がおきているのでしょう? 私は、答えは一つしかないと思っています。すでに偏りなく全国に広く蔓延しているうえに、あまり重症化することなく多くの人がどんどん新型コロナウイルスに感染回復を繰り返し免疫を獲得していっているということです。

私は6月上旬に入り、全国の感冒ウイルスとしての蔓延パターンBに入ったことを認識し、「旅に出よう」というコラム(※2)にしました。今でも正解だったと思います。ノーガード戦法のブラジルも、現在この状況であり流行は収束に向かっています。

「PCR大量検査」は貴重なモデルとなるかもしれない

そのような状況ですが「世田谷区の保育士ら2万人、一斉PCR検査へ…症状の有無問わず」(2020年8月24日読売新聞)と、無症状の保育士さん2万人にPCRを実施するまでに状況は加熱しています。たぶんPCR陰性であることを証明して、不安なお母さまを安心させたいと思っているのではないかと予想します。

1日に3000件PCRができるので「いつでも、どこでも、何度でも受けられる『世田谷モデル』を目指す」とのことです。多額の費用をかけた、蔓延期に入っているときの大規模掘り起こし検査の、貴重なモデルとなります。予算と人員が組める地域でしか行えない贅沢なものだと思います。

冬季になり他のカゼ症状が流行しても、希望者全員にPCRを行い続ける予定のようです。コロナウイルスと症状のよく似たインフルエンザは、毎年日本全体で数百万人発症します(※3)ので、ある程度の振り分けなど交通整理は必須だと思います。

私は、どんなことでもチャレンジすれば何らかの結果が得られるので未来の糧となると思っています。