気持ちに寄り添い、意見を尊重する姿勢を示す

この事例への応対としては、まず「本当は私どもも今まで通りの接客を行いたい」または「今までの接客と気持ちは同じです」と伝えることが非常に重要だ。お客さまと同じ思いに立ちながら、感染予防対策をしていることが伝わる。飛行機の機内案内でも「(感染予防対策により)サービスが行き届かず、ご迷惑をおかけすることをお詫びいたします」などとアナウンスされているが、これも背景には同様の意図がある。

さらに、意見をクレームではなく提案として尊重する姿勢も大事にしたい。「説明が足りず申し訳ありません。良いご提案をいただいたので、掲示物の内容変更も検討するように伝えます」と加えたり、「貴重なお話をありがとうございました。とても勉強になりました」などと伝えることができれば、改善に向けた前向きな姿勢を示すことにもつながる。

「ストレス発散型」の相手への対処の姿勢として基本的にポイントとなるのは、

・相手が感情をコントロールできない人だと認識する(こちらは相手の感情に振り回されない)
・気持ちに寄り添う言葉や態度を示す(勝とうとしない)
・一方的にならないように丁寧に説明する

の3つだ。

感情的に攻撃しているだけで、便宜を図らせようといった裏側の意図は少ないので、気持ちに寄り添った応対をすることで、怒りを鎮め、信頼を得ることができるはずだ。

クレームを「ありがとう」に変えるために

増加するグレークレームは、個々のケースで状況が違うために応対の原則やルールが作りづらく、多くの企業が悩みを抱えている。

個店や店員の感覚のみを頼りにした対応を行うと、かえってクレームの拡大につながりかねないからだ。一方で、誠実かつ適切な対応をすることで、クレームを抱えていたお客さまから感謝されることも多い。結局のところ、応対する側の対処によって、「グレー」は「ブラック」にも「ホワイト」にもなりうるのだ。

少しでも多くのグレークレームを「ありがとう」に変えるためにも、ベストな対応事例をいかに全社で共有するか? は多くの企業にとって課題だ。

その一環として以前から接客コンテストや社内報での事例共有などが多くの企業で行われていたが、多様化するグレークレームへの対応の共有には「迅速さ」と「シンプルさ」が必要だ。特に現在の新しい生活様式は、今後も変化を続けていくだろう。それに伴って企業が新しい施策を導入すると、必ず新しい苦情やクレームが起こるはずだ。すべての顧客接点が垣根なく苦情やクレームに対応できるような情報共有の土壌をシステムとして構築しておくことの必要性が高まっている。

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