トルコがそのポテンシャルを十分に発揮するには
外貨準備に限度がある以上、いつまでも為替介入でリラ安圧力を和らげることなどできない。それにコロナ禍での恒常的な為替介入で、トルコの外貨準備高は目減りが激しい。リラ安を一服させるためには、結局のところ中銀が利上げに踏み込むしかない。それでもなお利上げを回避し続けるなら、リラは市場の圧力に屈することになる。
各国でワクチンや特効薬の開発が進みコロナ禍が収束すれば、投資家のリスクセンチメントが改善するはずだ。そうすれば新興国の通貨も多少は持ち直すだろうが、買い戻しが速い通貨は中銀の政策運営の透明性が高い国の通貨となる。透明性に乏しいトルコのリラは、残念ながら相場の回復が遅れる通貨だ。
トルコは間違いなくポテンシャルが高い国である。しかしながら不安定な通貨のため、そのポテンシャルを活かしきれない状態が続く。その意味では、典型的な「中進国の罠」に囚われた経済である。他の新興国通貨への波及が懸念されるという点からも、トルコの通貨政策の動向には引き続き注視したいところだ。