なぜ、リラの下げ幅は圧倒的に大きいのか

トルコの通貨リラが不安定な動きを強めている。新型コロナウイルスの世界的な感染拡大(パンデミック)を受けて投資家のリスクセンチメント(心理)が悪化し、新興国の通貨は全般的に下落したが、リラの下げ幅は特に大きい。中銀は度重なる為替介入でリラ相場の下支えを試みているが、その結果、外貨準備高は年初来で4割以上も減少した(図表1)。

コロナ禍での為替介入で急減する外貨準備高

8月5日の外為市場では1ドル7リラの節目を終値で突破、その後1ドル7.3リラ台まで低下し、対ドル相場の年初来の下落率は約2割に達した。18年8月に生じた通貨危機から丸2年の節目を迎え、夏枯れ相場でリラが再び暴落し、それが他の新興国に波及しないか、市場関係者の注目が高まった。

こうしたなかでトルコ中銀は8月20日に金融政策委員会(MPC)を開催、通貨防衛のための利上げに踏み切るか注目されたが、中銀は結局、政策金利(1週間レポ金利)を現行の年8.25%に据え置いた。発表を受けて為替レートは一時1ドル7.36リラ台目前まで下落したが、その後7.3ドル台前半まで落ち着いた。

現代トルコの創始者ムスタファ・ケマル・アタチュルクの絵が描かれたトルコリラ紙幣とユーロ紙幣(2018年8月15日)
写真=dpa/時事通信フォト
現代トルコの創始者ムスタファ・ケマル・アタチュルクの絵が描かれたトルコリラ紙幣とユーロ紙幣(2018年8月15日)

為替レートはそれほど金利据え置きに反応しなかったように思えるが、実際は中銀による為替介入によって支えられた模様だ。中銀の発表は現地時間の20日午前14時に行われたが、その直前にリラの対ドルレートは一時7.2リラ台後半まで上昇。中銀が先手を打って為替介入を実施した可能性がうかがえる。