“国家資本主義体制”の優位性を世界に示した中国だが……

2020年4~6月期、主要国の経済成長率は、軒並み第2次世界大戦後で最低の落ち込みを記録した。前年同期比でみた実質GDP(国内総生産)成長率は米国がマイナス9.5%、日本でマイナス9.9%、ドイツでもマイナス11.7%だ。

共通するのは、コロナウイルスの感染拡大で人々の動線が阻害され、個人消費が大きく落ち込んだことだ。ワクチン開発と供給に関しては不確実な部分があり、先行きの不透明感はぬぐえない。それに加えて、米中対立の先鋭化は世界の貿易取引を低迷させている。

李克強首相。欧州連合(EU)と中国はテレビ会議を通じて第22回二国間サミットを開催した=2020年6月22日=2020年6月22日
写真=Avalon/時事通信フォト
李克強首相。欧州連合(EU)と中国はテレビ会議を通じて第22回二国間サミットを開催した=2020年6月22日

そうした状況下、中国では共産党政権が迅速果敢に財政・金融政策を運営し、4~6月期のGDP成長率は3.2%のプラスだった。それは、ある意味で“国家資本主義体制”の優位性を世界に示したといえるかもしれない。ただし、その裏側で不動産バブルと債務の拡大の懸念が高まっていることは軽視できない。

将来の展開は不確実だが、バブルはどこかではじける。歴史を振り返ると、バブル崩壊後、経済全体でバランスシート調整と不良債権処理というバブルの後始末が必要になる。今すぐ、それが現実のものになるとは思わないが、世界第2位の経済大国である中国で不動産バブルが崩壊すれば、世界経済には無視できない影響が及ぶ。

特に、近年中国との経済的関係を重視してきた韓国経済にはかなりのマイナスの影響が及ぶことは避けられないだろう。