城をモチーフにした「和」が盛り込まれている

「大阪城公園森ノ宮店」の外観は、一見すると「鎌倉御成町店」に似ている。だが、随所に当地らしさが盛り込まれている。

例えば店内と店外はガラスで仕切られ、開放感もあり、城内の借景も楽しめる。テラス席には“丸石”に見立てたインテリアがある。これは家具で、座ったり荷物を置いたりできる。「大阪城天守閣の石垣からインスピレーションした」(同社)と話す。

テラス席にある丸石(大阪城公園森ノ宮店)
写真=筆者撮影
テラス席にある丸石(大阪城公園森ノ宮店)

現在の店長(ストアマネージャー)は福井淳哉さん。大阪城公園森ノ宮店に赴任する前は福井市の店に勤務しており、「福井の福井さん」として、覚えてもらいやすかったという。

「この店の前は噴水広場もあり、早朝はみんなでラジオ体操をされる年配者もいらっしゃいます。店の客層もさまざまで、朝は出勤前の会社員の方もいれば、昼下がりには主婦や学生の方など年齢も幅広い。自然な接客を心かけています」

また、店内にあるアートは、地元大阪のアーティストの作品だという。見渡して興味深かったのが、スターバックス唯一のキャラクター「ベアリスタ」(ベアー+バリスタの造語)が棚に置かれていたこと。不定期に発売されるベアリスタの和装を置くところにも、城内の店へのこだわりが感じられた。

一緒に訪れた20代の男性編集者とともに、テラス席に座ったが、残念ながら座席からは、天守閣が見えない。周囲の緑の向こうにそびえる世界を思い描くことにした。ちなみに外に出て離れた場所からは、店と天守閣が見えるようだ。

梅田には木材をたっぷり使用した“やすらぎ”の店が

大阪城を離れて、表玄関・大阪駅(梅田駅)近くに移動してみた。

2001年に開業し、関西のヨドバシカメラの本拠地となった場所に、2019年11月に新たに複合ビル「LINKS UMEDA」が誕生。この2階にスタバが入居した。正式店舗名は「スターバックスコーヒー LINKS UMEDA 2階店」という。

店の特徴は、家具や内装に大阪産のクリの木やおおさか河内材がふんだんに使ってあること。取引先と一緒に取り組む“JIMOTO table プロジェクト”だという。資料に記された「大阪・梅田の真ん中に“スターバックスの森”が誕生」は、少し大げさに感じたが、落ち着ける空間であることは間違いない。