また、似鳥会長はサービス精神が旺盛で、スピーチをするときは、「奇想天外な話で場を盛り上げ、相手を笑わせるのが大好きなんです」と佐藤さんは明かす。そのため、ときにはうけ狙いで、お笑い芸人のように話を膨らませたり、盛ったりすることもあるものの、「明らかに冗談とわかることをいうので、罪はないんです」と佐藤さんはフォローする。

似鳥会長は話術が巧みなだけに、言葉のセンスも抜群なようである。その好例が、「お、ねだん以上。ニトリ」という、お馴染みのキャッチコピーだ。社内公募から選ばれたのだが、最終決定をしたのはもちろん似鳥会長である。「とりわけ、『お、ねだん以上』の後に、説明的な言葉を入れていないのがミソだと思います。安いのはもちろんのこと、ちょっと付加価値もあるのかなと、相手に想像させる。とてもユニークな言葉遣いのセンスが表れています」(佐藤さん)。

100店舗掲げたアナウンス効果

そうした似鳥会長ではあるが、「経営トップは、明るくなければならない」という哲学を自ら打ち立て、自身も明るく振る舞うように心がけているように見える。なぜなら「明るい人は、未来に希望を持つので、ビジョンの達成まであきらめないし、周りに人が集まってくる。だから、成功しやすい」と、似鳥会長は自叙伝でも説明しているからである。

また、似鳥会長は「100店舗、売上高1000億円、1店舗の敷地面積1000坪、坪当たり売り上げ100万円、1店舗の売上高10億円、社員の給料1000万円、社員の持ち株1億円」という経営目標を掲げ、ことあるごとに社員に言い続けたそうである。まさしく孫会長の「アナウンス効果」にも通じる取り組みといえよう。ニトリの成長には、似鳥会長のそうしたパフォーマンスも、大いに寄与してきたといえるだろう。

一方で、決算発表や記者会見といった改まった公式の場では、ユーモア溢れる普段の似鳥会長は、姿を隠してしまうようだ。デジタルハリウッド大学教授の匠さんは「似鳥さんは、デフォルトモードでは両手を固定したオープンスタイルで、意志の強い人だと思われます。ただし、話を聞いているときは、首をよく動かして頷いたりしているので、相手からの共感は得やすいでしょう」と分析する。

ともあれコミュニケーションを取るときに、明るさとユーモアを忘れず、経営を成功に導いてきた似鳥会長のスタンスには、大いに学びたい。

(撮影=柳井一隆)
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