『歴史の教訓―「失敗の本質」と国家戦略』を読む
兼原信克さん著『歴史の教訓―「失敗の本質」と国家戦略』(新潮新書)をご紹介したい。著者は外務省きっての理論派として活躍したのち、2012年12月からつい最近まで7年半余りにわたって外政担当内閣官房副長官補を務め、14年1月からは初代国家安全保障局次長として、集団的自衛権行使を部分容認する安保法制をはじめとする重要政策に携わった。私は、安保法制のオーラルヒストリーを作る過程で初めて兼原さんと親しく話をするようになったが、その後も平成30年大綱で初めて国家安全保障局主導で防衛大綱が策定されるなか、安防懇(安全保障と防衛力に関する懇談会)委員として一緒に仕事をさせていただいた。
「安倍外交」とはいったい何を目指すもので、その本質はどのような精神に立っているのか。今回、まさにその当事者が問題意識のありかを発表したことは重い。
本書の歴史把握には、日本人が避けて通れない戦争の失敗が含まれている。ナショナリズムを基調としながらも当時の世界を合理的に客観視することで、日本が犯した致命的な戦略の失敗を振り返る。現在の日本が当時よりも優れた戦略観を持っているかどうかについては、著者は手厳しい。「外交は常に連立方程式である。全体を見る力がない国は滅びる」。このくだりは現在の日本にも向けられる。
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