まずは「コアとなる10人」を集めることが大切だ
ヤマダさんの例では、こんな事態に陥りました。
3回目は集客力のある有名なゲストに声をかけよう。ゲストに支払う講演謝礼が予算よりもオーバーしているけれど、隔週のペースでイベントを開くと上司に宣言したし、仕方ない。今回は承認してもらおう。そうこうしている間に、4回目のゲストも決めなくては。もう、誰でもいいから100人集まる人をゲストに呼べばいいや!」
結局ヤマダさんは、焦って有名なゲストを続々とブッキングし、本来のイベントのテーマからは、どんどんとズレていきました。
こういった事態は、ビジネスコミュニティを運営していると、本当によく起こります。
要するに「隔週で集客力のあるイベントを開催すること」が目的化しているのです。
ヤマダさん本人も頭を抱え、コミュニティづくりに長けた専門家に相談しました。すると、こんなアドバイスを受けるはずです。
「あなたのコミュニティの目的は、イベントを続けることでしょうか。それとも、ファンをつくり、中長期的に成長することでしょうか。イベントは手段の一つでしかありません。まずはコミュニティのコアとなる10人を集めてください。たった10人でいいんです」
最初の10人を「選ぶ条件」
「たった10人でいいのか」と驚くかもしれません。
しかし、コミュニティづくりでは最初は10人も集めれば十分なのです。しかし、この10人には2つの条件があります。そのどちらかに当てはまる人を、集めましょう。
【コミュニティ最初の10人の条件】
①既にあなたの会社の製品やサービスを使ったことがあり、愛着を持っている人
②あなたの製品やサービスに興味を持ち、熱心なファンになりそうな、ターゲットど真ん中の人
最初の一歩は、コミュニティに興味を示しそうな熱心なファンに「弊社の製品○○について、カジュアルな意見交換会を開催します」といったように声をかけるところから始めます。
例えば、消費者向け製品やサービスのコミュニティの場合、自社サイトやメールマガジン、SNSの公式アカウントなどで、参加者を募集しましょう。あなたの会社の製品やサービスを愛用する人を中心に声をかければいいのです。こういった声がけに応募してくる人は、かなり熱心なファンである可能性が高いでしょう。
企業向け製品やサービスのコミュニティの場合、既に付き合いがあり、コミュニティ活動をおもしろがってくれそうな顧客企業の担当者が有望です。営業担当などにヒアリングをして、勘どころがありそうな人を招待するといいでしょう。
10人に声をかけた結果、最初の会合に訪れるのが5人でも全く問題ありません。大切なのは、会場に来てくれた参加者が、製品やサービスに対して興味や思い入れを持っていることです。