10~20人規模のミートアップから、常連が増えていった

ビジョンを決めた後で、ようやく具体的な企画を立てていくのです。ビジョンがクリアであれば、コミュニティのターゲットも明確に定まり、企画はすんなりと決まるはずです。

ヤマダさんは、コミュニティのターゲットを「不健康な生活を送るビジネスパーソン」と設定しました。

そしてイベントの企画を、多くの謝礼を支払って著名人を招いて、多くの参加者を集めるようなスタイルから、健康な生活を送りたいけれど、運動やダイエットが長続きしないビジネスパーソンを10~20人集めたミートアップに変更しました。

楽しくできる運動をするための講師などをイベントのゲストに招いたところ、徐々にコミュニティの常連参加者が増えていきました。

そして、この常連参加者が友達を誘うようになり、少しずつ「コミュニティが楽しくて、御社の体重計を買いました」という参加者が増えてきたのです。

「ダイエットアプリをつくるベンチャー企業のエンジニアなのですが、アプリ連携に興味はありませんか」といった商談も生まれるようになりました。ヤマダさんは、SNSを駆使してコミュニティ参加者と積極的に交流し、ファンの数も増えていきました。

「熱心な10人」と一緒にビジョンを決めるのが大切

コミュニティの参加者は、次のような手順で進めるといいでしょう。

① 最初は10人に声をかける
② 5人〜10人規模のミートアップを開く
③ ミートアップで製品やサービスの長所と短所をヒアリングする
④ 友達や仕事上付き合いのある人など少しずつ輪を広げる
⑤ SNSで参加者とつながり、コミュニケーションを続ける

繰り返しますが、コミュニティを立ち上げる際に特に大切なのは、最初に熱心な10人のファンを集めて、一緒にビジョンを決めること。ビジョンづくりをないがしろにしてはいけません。

「何のためにやっているのか」を忘れると、コミュニティそのものがぼんやりとしてしまいます。そうしたコミュニティは大抵の場合、参加者や関係者のモチベーションが高まらず、結果的に活動が停滞します。

・何のためにコミュニティを立ち上げるのか
・コミュニティを通して何を実現したいのか

河原あず『ファンをはぐくみ事業を成長させる「コミュニティ」づくりの教科書』(ダイヤモンド社)
河原あず・藤田祐司著『ファンをはぐくみ事業を成長させる「コミュニティ」づくりの教科書』(ダイヤモンド社)

まずはこれを明確に決めること。いざコミュニティを立ち上げる段になると、イベントの数を増やしたり、動員数を伸ばしたりすることに意識が向きがちになるので、くれぐれも注意しましょう。

新型コロナウイルスの感染拡大後、多くのビジネスパーソンがコミュニティの重要性に気づきました。しかし、実際にコミュニティやオンラインイベントを立ち上げようとして、戸惑う人も実に多いようです。

そんなビジネスパーソン向けに、コミュニティづくりのポイントをゼロからまとめた新刊『ファンをはぐくみ事業を成長させる「コミュニティ」づくりの教科書』を発売しました。急速に増えているオンラインイベントのノウハウなども盛り込んでいます。ぜひ参考にしてください。

【関連記事】
「肥料なしで糖度12.8→18.8度」奇跡のパインを生んだ"道法スタイル"の非常識
「日本中テレワークすればいい」と思っている人に伝えたいこと
副業、独立…すべての「稼げる人」に当てはまる唯一の共通点
ジョブズの遺言「日本からイノベーションが生まれない根本原因」
シリアの警察を空手でボコボコにした酔っぱらい日本人の正体