日本の感染再拡大と似ているの感染規模が世界トップの米国だった
日本の感染再拡大は、そもそもなぜ起こっているのだろうか。感染防止と経済回復との両立に失敗したためなのだろうか。なぜ日本だけ、この両立に失敗しつつあるのだろうか。
こうした点に関するヒントを得るためには、やはり、国際比較が重要である。主要国の中で日本と同じ経路をたどっている国はあるのだろうか?
感染者数の規模が大きく異なっていても、感染拡大や収束の動きのパターンを把握するためには、対数グラフがやはり有効である(対数グラフによる分析は、5月の本連載記事でも書いた「世界中で日本だけ『コロナ感染のグラフがおかしい』という不気味」ので参照されたい)。
図表3には、累積数ベースで、「感染者数」の推移(A)と「感染死亡者数」の推移(B)を対数グラフであらわし、また、普通のグラフで、死亡者数を感染者数で除した「感染死亡率」の推移(C)を掲げた(2020年8月5日までの状況)。
感染者数の動き(A)を見ると、いずれの国でも、一気に垂直に近いカーブで感染が拡大し、ある時点を境に、感染拡大が止まり、横ばいに近いカーブに転じていることが分かる。
欧米諸国や日中韓といった東アジア諸国でもこの点は一緒である。
こうした国とは対照的に、当初の感染拡大カーブ自体はあまり垂直的ではなく(つまり激しい急拡大ではなく)、しかし、最近になっても拡大ペースが衰えない国として、ブラジル、インド、ロシアが目立っている。
こうした中で、日本は、感染数規模は非常に小さいものの、「当初の立ち上がりが遅かった」点と「最近になって再拡大が顕著となっている」点の2点で目立っている。
この、最近になって再拡大が顕著であるという点で共通の国を探すと、意外にも、感染規模が世界トップである米国がやや似た動きを示している。
感染再拡大の日米の共通点はヘンテコな政治家リーダー
次に、感染死亡者数の動き(B)を見ると、感染者数より規模のばらつきが大きい点が異なっているが、時系列的な動きについては、感染者数の動きとほぼ平行している。ブラジル、インド、ロシアの死亡者数の拡大幅がなお大きい点は欧米や東アジアの諸国と異なっている。
ただし、感染者数と異なり、死亡者数の場合は、米国も日本も再拡大の傾向は見られない点に気づかされる。
さて、そうだとすると感染死亡率の動き(C)は、日本と米国で似ているのではないかと想像されるが、実際に、死亡率の動きのグラフを見てみると、日米は、一時期高まった死亡率が(といっても欧州諸国ほどではないが)、近年になって顕著に低下してきている点が共通である。
このように、日本と米国は、感染規模は天と地ほどに違いが大きいが、感染者数や死亡率の動きとしては非常によく似たパターンを示しているのである。
これは、なぜであろうか。
経済の回復を最優先にする国民性が共通で、感染拡大が収まりつつあるのに安心して生活のタガを緩めすぎたのであろうか。
あるいは、ヘンテコな政治リーダーが国を率いて、経済を過当に重視し、感染拡大に対しては油断の連続である一方、地方レベル、あるいは国民レベルでの自発的な取り組みが強力なので最悪の事態を避けることができている。そんな共通点があることで、期せずして同様な動きとなっているのであろうか。