東京の感染率は「6月まで」は45.5人、「7月」は47.0人
こうした動きをさらに細かくチェックするため、都道府県別の感染率(人口10万人当たりの感染者数)の状況としてあらわしたグラフを図表2に示した。このグラフでは、都道府県別の感染率を「6月までの累積感染者数」と「7月1カ月間の感染者数」の両方について対比させている。
全国では、6月までの感染者数は1万8513人と人口10万人当たりの感染率では14.6人だったのに対して、7月1カ月間の感染者数は1万7671人と感染率は13.9人となっている。すなわち、最近の感染再拡大にともなって、感染がはじまってから4カ月余にわたる累計と7月だけの感染者数とがほぼ同じ水準となっているのである。
一方、都道府県別に見ていくと、7月1カ月の感染率が最も高いのは、東京の47.0人であり、全国平均の3.4倍の水準である。また、6月までの感染率45.5人を若干上回る水準である。
東京に次いで感染率が高い地域は、大阪の25.1人であり、福岡、愛知が、それぞれ21.7人、18.9人で続いている。6月までの感染率と比較すると大阪、福岡は東京と同様、だいたい同じ水準であるが、愛知は6月までは7.5人だったが、7月は21.7人にまで上昇している点が目立っている。
大都市圏の都心部以外の周辺部も感染率は比較的高いが、それでも、都心部を抱える大都市圏の中心都府県で感染率が特に高くなっている状況がうかがえよう。
東京の中でも、歌舞伎町に代表される夜の繁華街を抱える新宿区が今や感染率がダントツに高く、都内周辺部というべき多摩地域は、ずっと感染率が低くなっている。同じような人口密度に比例した地域傾斜が全国的にも成立しているといえよう。
感染者数、宮崎16人→140人、鹿児島9人→242人、沖縄139人→269人
7月の地域別感染率は、6月までの状況とどんなところが異なるかを整理すると以下の5つのポイントが目立っている。
①6月までは、北海道、南東北、北陸(新潟を除く)、四国西部、長崎など大都市圏以外の特定地域でも高かった感染率が、7月には、おしなべて低下。
②東京圏、大阪圏、および愛知、福岡といった大都市圏では、6月までにも増して7月も感染率が高い。とりわけ、愛知は6月までより格段に感染率上昇。
③大都市圏に集中する傾向にある7月の感染分布の中で、南九州・沖縄は、例外的に感染率が高い地方圏として際立っている。「6月までの累計」と「7月」の感染者数は、宮崎/16人:140人(感染率1.5人:12.8人)、鹿児島/9人:242人(感染率0.6人:14.8人)、沖縄/139人:269人(感染率9.4人:18.2人)。
④大都市圏への感染集中は、感染者の年齢構成が若年層に傾斜する傾向、あるいは夜の街や宴会などでの感染が拡大という7月の特徴と整合的である。
⑤こうした法則的な傾向とは反する南九州・沖縄の高い感染率は、理由が不明。沖縄は米軍が持ち込んだ感染の影響の可能性もあろう。6月までの北陸3県における特段に高い感染率も理由が不明だったが。両方とも、偶然に帰せられてよいものなのか。