陰謀論を信じるアメリカ人
さらにアメリカ人はコロナにおけるデータとファクト、科学を正しく理解できていないことが、感染拡大につながっている可能性があります。
アメリカの調査会社Pew Researchが8914人の成人の米国人を対象に行った調査によると、23%が「ウイルスは意図的に開発された」と回答し、6%は「誤って開発された」と信じているのです。つまり、回答者の3人に1人が「ウイルスは陰謀によって生まれた」と考えているのです。
また、この陰謀論は「ビルゲイツ氏やイルミナティが影の支配者になって、ワクチン開発で儲けるために作り出した」「人口調整を行うため」と信じる人もおり、「そもそも、コロナウイルス事態が存在しない」と考える人までいるのです。コロナウイルスの驚異を信じない人は当然ながら、うがい・手洗い・ソーシャルディスタンスといった感染拡大防止への意識は皆無といえます。今年7月には米国・テキサス州の30歳の男性がコロナに感染するかどうかを試す「コロナパーティー」に参加、感染して死亡前に「コロナへの認識を誤った」と後悔していたことが明らかになっています。その他にも、InstagramやTik Tokで多数のフォロワー数を抱えるカリフォルニアのインフルエンサー・Larzさんは便器やドアノブをなめる「コロナチャレンジ」で感染、ドアノブをなめる動画を公開したことで多数の模倣者を出したとして非難を受ける事態となっています。
国のトップもデータとファクトを信じない
米国の最高権力者であるドナルド・トランプ大統領も、データとファクトを信じない姿を見せてしまうことがあります。
FOXニュースとのインタビューで、米国におけるコロナ致死率は「世界的に最も低い」とトランプ大統領は答えています。同ニュースのクリス氏がジョンズ・ホプキンズ大学の分析データを示しながら、「米国の致死率は3.8%と最悪レベルで、これはは世界で7番目に高い値だ。欧州は米国からの渡航を禁止している」と反論するも、「米国の致死率は世界最低レベルだと信じている」と述べました。「たった1日で900人もの米国人が死亡している事実がある」とクリス氏が切り返すと、「フェイクニュースだ」とトランプ大統領は反論したのです。
このやり取りを見るに、トランプ大統領の主張はデータやファクトに基づく発言ではなく、個人的な願望と思えます。国のリーダーが感染症に対する正しい認識を持たなければ、当然に然るべき手を打つことは難しいのではないでしょうか。