厳しい業績でも当面は破綻しない

2020年3月期決算を発表した上場地方銀行78行の業績を振り返りましょう。57行は、連結純利益で減益となりました。みちのく銀行、清水銀行、島根銀行の3行は赤字転落です。原因はコロナ禍での株価下落です。

21年3月期については、「未定」とした3行を除く75行で、連結純利益は前期比約20%減の計5916億円となる見通しです。75行とも最終黒字の予想ですが、コロナの影響を正確に織り込めておらず、貸し倒れに備えた与信関係収支の悪化により、下振れする可能性は大きいと考えられます。

具体的なコロナの影響を考えると、マイナス要因とプラス要因もあります。

マイナス要因は、貸し倒れリスクが高まること、そして、手数料ビジネスの収益が悪化しそうなことです。地方銀行でも、近年、M&Aのフィーや、投資信託、保険などの販売手数料の存在が大きくなっています。コロナ禍ではM&Aの動きも鈍るでしょうし、個人の投資意欲も減退することが予想されます。そうした状況では手数料収入の伸びは期待しにくいでしょう。

プラス要因になるのは、主たる業務である、融資需要の増加です。