現況を考えると竹島が韓国領土であることを疑う余地はない
日本人と同じく、ほとんどの韓国人は竹島に行ったことがない。その割合は日本人よりははるかに多いはずであるが、目下のところ移動手段が船だけ、という現実を考えると致し方ないであろう。しかし韓国本土では、地下鉄の駅に「独島」の模型が展示され、子供でも『独島は我が領土』の歌をアカペラで歌うことができる。韓国のテレビには、常に「独島」の天気予報――。つまり気温、湿度、降水確率、風速が別枠で表示される。この並々ならぬ実効支配への意気込みは、韓国本土に行けばすぐにわかる。
日本には全然そういう機運がない。日本では竹島問題を啓発する展示室は島根県にほぼ丸投げされ、東京には領土記念館のひとつもない。毎年2月の竹島の日式典は、2012年に自民党が政権を奪取する前まで「政府主催で開催する」とされたが、自民党が実際に政権をとるや否やその公約は反故にされた。
そして、やる気と運さえあれば行くことのできる「日本固有の領土・竹島」に実際に行ったことのあるタカ派や保守系言論人はほとんどゼロである。事情を知らない第三者からすれば、現在の状況だけを考えると竹島が韓国領土であることを疑う余地はないのではないか――とすら思うだろう。韓国郵政局は「独島切手」を何種類も発行しているが、日本郵便はただの一度も「竹島切手」を発行していない(北方領土関係はある)。この1点においても、日本政府の領土に対するやる気のなさがおわかりいただけたと思う。
日本人の嫌韓、領土への叫びは実行を伴わぬ愚行
第2次安倍政権は保守だとか、外交の安倍だとか喧伝しているが、私からするとどこが保守なのか、どこが外交の安倍なのかよくわからない。「我が国の領土・領海を守る!(キリッ)」などという自民党の保守系議員も、てんで竹島のことなどニュースでしか知らないのだ。そもそも、在日米軍に我が国の領土や領空を好き勝手に使われても何も疑問に持ちえない議員のどこが保守なのか、愛国者なのだろうか。
どだい、韓国国民の領土に対する気概からして日本はすでに完全敗北している。ここまでくると、竹島は日本の領土などとは空寒い空疎空論で、韓国側の営々と積み上げてきた実効支配の根拠に日本側は何も太刀打ちできないだろう。百聞は一見に如かず。私の言葉や写真を疑うなら、一度竹島に行ってみればよろしい。その圧倒的な実力行使に、私たちは「竹島は日本固有の領土」というあまりにもか弱いスローガンに言葉を失い、そして日本人の威勢のよい嫌韓とか領土への叫びがいかに実行を伴わない愚行であるか、存分に気がつくはずである。