アフターコロナの潮流は「分断」

新型コロナウイルスによって大きく揺れ動いた国際社会。日本総合研究所国際戦略研究所理事長の田中均氏は、アフターコロナのひとつの潮流として、「分断」を挙げる。

米国旗と中国旗のクローズアップ亀裂.世界最大の経済大国であるアメリカと中国の間の関税貿易戦争危機の象徴です。
写真=iStock.com/Dilok Klaisataporn
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「アメリカでは、新型コロナウイルスに感染した死亡者は黒人の割合が高かった。その原因として所得や医療の格差があらわになり、人種差別問題に火がつきました。また欧州ではイタリアやスペインが医療の支援を頼んでも、EUベースの協力が不十分でした。少し前まで欧州にあった統合に向かって進んでいく雰囲気が失われつつあります」

社会が不安定化することで強いリーダーが求められ、コロナ以前から先進国で勃興していたポピュリズムが加速していく。さらに田中氏は、コロナによって中国の世界に対する浸透力が強まったと分析する。

「近年、東南アジアを中心に中国に対する経済依存度が大きくなっています。その中国は経済回復が早く、アメリカ、欧州、日本などの先進国は回復が遅れるかもしれません。そうなると新興国と先進国の間の経済的差異が縮小していくでしょう」

国際社会の振れは大きくなるのか。専門家の予測に耳を傾けてみよう。