コロナショックでドル高になった理由

通常、市場に不安心理が広がって、株価が下がるようなリスクオフの局面では、ドル安円高になりやすい傾向がありました。しかしコロナショックのような極端な状態になると、「持っておけば安心」とトイレットペーパーを確保するかのように、基軸通貨であるドルへの需要が高まり、ドル高が進みました。市場からドルが干上がるような状態になったため、FRBはドルの資金供給を拡大。ドルの価値が下がっていって、現在は落ち着いている状況です。

アメリカ経済が底を打つのは2020年4~6月期。そこから回復していき、コロナ前のピークである19年10~12月期の水準までは2年かかっても戻らない、というのが目下のメインシナリオです。

そこで為替は値動きに乏しい状態が続くと見ています。リスクオフだと流動性と信用力の高い先進国通貨が買われて、リスクオンだと逆相関で新興国通貨が買われますが、今のような低金利環境では先進国通貨vs新興国通貨のようにグループ化していき、先進国通貨の力関係は「綱引き」になりやすい。さらに長期金利差はこれ以上縮まらないと見られて、期待が高まりません。結果、ドルと円もあまり大きく動かず、105~110円の間から大きく外れないようなレンジで、行ったり来たりする可能性が高いと予測しています。