予想配当利回りで買い余地は絶大

プレジデント誌20年5月1日号で経済学者の竹中平蔵氏は「いずれパンデミックは終わります。(中略)日経平均株価もいつかは2万4000円あたりに回復する日が来るでしょう」と語っていたが、現実味を徐々に増しているようだ。そして、新型コロナウイルスが収束した“アフターコロナ”の世界を見通して、強気のスタンスを貫いているのが、ドイツ証券アドバイザーでもある武者リサーチ代表の武者陵司氏だ。

経済学者 竹中平蔵氏
経済学者 竹中平蔵氏

「日本は長年にわたって緊縮財政をとり、購買力を削ぐ間違った政策を続けてきました。それが新型コロナウイルスへの経済対策で、真逆の本来あるべき積極財政へと大転換しました。一方、今回の経済活動自粛でテレワークが定着し、アフターコロナの世界ではデジタル化とネット化が融合した働き方の大改革が起こります。AI(人工知能)やロボットの導入も進み、それを積極財政が強力に後押しする。その結果、これまで低い水準に押しとどめられてきた生産性が飛躍的にアップして、世界のなかでも高い経済成長率を日本は達成することになると思います。

足元の株価に目を転じると、現在の日経平均の予想配当利回りは2%弱です。ここから3割ほど日経平均が3万円に上昇したとしても、予想配当利回りは1.7~1.8%にとどまる計算になります。0%の預金や国債よりもはるかに高い水準で買い余地が十分にあり、日経平均は3万円でもまだ割安といえます。日経平均が4万円でも妥当な水準といえ、今後の経済成長率のアップを織り込みながら、そこを目指す動きになっていくでしょう」

そうした強気相場をリードしていく銘柄が何かというと、武者氏は「5GやDX(デジタルトランスフォーメーション)で欠くことのできない技術要素を持っている企業です。なぜなら、先ほども指摘しましたデジタル化とネット化という大潮流の恩恵をフルに受けて、企業業績の大幅なアップが期待できるからです」という。この点に関しては馬渕氏も同意見で、DXに関わるシステムインテグレーターである伊藤忠テクノソリューションズや野村総合研究所、5G絡みでは通信計測器メーターで通信基地局に強いアンリツなどに注目している。

いずれにしても、目先の株価のアップダウンに惑わされることなく、中長期的なアップトレンドの波をしっかりと捉えて、そこに乗っていくことが大切なようだ。