「儲けは合計で4000万円ほど。この3カ月を振り返ると、一言で言えばコロナバブルでしたね」

そう語るのは、投資歴13年、元手50万円で株式投資を始め、現在は10億円以上の資産を動かしている高橋圭一さん(仮名・33歳)だ。

空売り1億5千万で私が得たもの

「売買した主な銘柄は大成建設と国内ETF(上場投資信託)です。大成建設は20年2月上旬に売りを入れて、その後追加で売りを入れました。20年3月中旬に利益確定し、儲けは4000万円くらいでした。通して、1億5000万円ほど空売りしました」

*空売りとは、持っていない株式を、信用取引などで「借りて売る」こと。近い将来に株価が下がると予測し、現在の株価でいったん売りを出す。値下がりしたところで買い戻して借りた株を返す。このときの差額が利益になる。

当時、ダイヤモンド・プリンセス号船内でコロナウイルス感染者が発覚し、日本国内でついに陽性と判定される人が出始めたタイミングだ。そんな混乱をよそに、高橋さんの勢いは止まらなかった。

「大成建設を売ってわりとすぐに、今度は国内ETFを3億円分購入しました。20年5月下旬に利益確定し、1億5000万円ほどの儲けが出ました」

高橋さんによると、コロナ禍では大成建設以外にも、上場企業の中で単発で利益が出る銘柄が目立ったという。

「20年7月前半もサイバーエージェントで6%の変動があり、そこでも大きく利益を出しましたね」

では、彼がここまで大きく利益確定できたのはなぜか。

「大成建設は19年夏から株価がずっと上がっており、注目していました。あまりにも上昇していたので、いずれ上げ止まりが来るだろうとマークしていたんです。それがコロナ禍において起きたというだけ。私は株式投資は時流に流されず、自分でルールを定めて、そのルール通りに淡々と、感情抜きで売買するというのが必勝法だと思っています。『コロナだから……』で投資してる人は馬鹿です。つまり、チャートだけを見る。勝因はこれだけです」

大成建設の株価の動きは、高橋さんが定めたルールで勝てるチャートの動きだったという。

「週足といって、1週間単位でチャートを見る見方があります。20年2月前半、大成建設の週足は下落傾向でした。4500円からさらに3000円台まで落ちてきました。想定以上に下がったので、売るなら今だと思ったのです」

高橋さん曰く、コロナのような金融市場に大混乱をもたらす社会的事件は、「毎年起きており、そのときにチャートでどんな動きがあるかの傾向をおさえておけば、流されずに儲けは出せる」と豪語する。