世界は本質的な変革を求められている

コロナ禍に見舞われた世界は、本質的な変革を求められています。40年ほど前に宇宙物理学者ホーキング博士が来日した際、私は「あなたはある程度まで発展した文明は一瞬のうちに滅びると言ったが、宇宙的な尺度で一瞬とはどのくらいか」と質問しました。そのとき彼は「100年くらいでしょう」と答えた。つまり人類文明が環境問題などの課題を放置していたら、あと100年しかもたないだろうと言ったのです。

ベストセラー『老いてこそ人生』から18年、あらためて「老い」とは何かに向き合う思索の書。生命にかかわる大病を7年前に経験した著者が考察した死生観
ベストセラー『老いてこそ人生』から18年、あらためて「老い」とは何かに向き合う思索の書。生命にかかわる大病を7年前に経験した著者が考察した死生観。

ホーキング博士の予言からもう40年経ってしまいました。今この機会に変えなければ人類文明の存続はない、と腹の底から理解している政治家はどれだけいるでしょうか。

2019年2月、ショッキングなニュースが流れました。東京オリンピックでの活躍も期待されていた競泳の池江璃花子選手が、急性の白血病に侵されたというのです。あれだけ華やいだ存在の人が自分の人生を封じられてしまうとは、なんという残酷なことでしょう。人生にはときとしてそんな恐ろしい罠が待ち構えているのです。

その彼女がリハビリを経て、ようやくまた泳ぎ始めたといいます。テレビの映像で見ましたが、実に感動的でした。彼女は自らの置かれた状況に耐え、まったく慨嘆することがないのです。本当に強い人だと感心するしかなかった。池江さんのこれからを考えると、やがて恋愛し結婚し子供を産んで、充実した次の人生を送ることになるでしょう。そのことで彼女の人生は見事な蘇生を見せてくれると信じます。彼女はそれができる人です。

私はまたこうも思うのです。池江さんの身に起きたことを考えれば、90歳近くにもなって「ろくに散歩もできなくなった」とこぼすのは違うのではないかと。私は恐ろしい人生の罠に落ちることもなく、老齢に至るまでともかくも充実した人生を歩んできたのです。それなら嘆くことなんて、何もないはずではないですか。

(構成=河崎三行 撮影=奥谷 仁 写真=毎日新聞社、Getty Images)
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