基礎が高くても「床下換気口」があればそこから浸水することにも留意したい。最近では、最初から床下換気口がない建物も多く、基礎と土台の間に、樹脂製や金属製の基礎パッキンを敷きこむ基礎パッキン工法であれば、床下換気口がなくても、床下の換気が可能だ。この工事は新築時にしか選択できない。
地下空間に居室を置いている人は注意
地価が高く、狭小敷地の多い都心部・都市部では、居住空間を少しでも広く確保するため、地表面よりも低い空間に、居室を設けるケースがある。しかし、ひとたび台風やゲリラ豪雨が襲来すれば、ハザードマップで震災可能性が指摘されていないエリアでも、下水が逆流したり、排出しきれなくなった雨水が流れ込んでくることがある。
排水ポンプを設置していても、排水能力を超える雨が集中的に降れば、一気に水が溜まって窓の高さを超え、室内に浸水する。ある晩、皆が寝静まった深夜に大雨が降り、住人が目覚めたときには、すでに部屋中が浸水。何とかドアを開けて上階に逃げることができたが、もう少し遅れていたら水圧でドアが開かず、閉じ込められていたかもしれなかった。
このケースでは、駐車場にも水が溜まってしまい、車は廃車に。排水ポンプはあったものの、メンテナンスをしないままに10年以上放置され、壊れて作動していなかったことが判明した。
マンションなら原則として排水ポンプや排水管などの点検・清掃は、管理会社が担う。しかし、一戸建ての場合は自身で行う必要があり、往々にして忘れられがち。異音などの故障のサインが表れるまで気づかず、この事例のように、いざというとき役に立たないことも多い。
2.腐食したバルコニーを通して雨漏りが
バルコニーからの浸水もハザードマップエリアとは関係がない。バルコニーには建物と一体化しているものと、後付けされたアルミ製などのものの2タイプがあり、昨今の新築一戸建ては、建物と一体化したバルコニーが大半。その表面は防水・止水加工が施されるが、時間の経過とともに劣化し、建物内部に浸水することがある。
特に弱いのがバルコニーと建物やサッシが接続している部分。とある一戸建ての住宅では、豪雨をきっかけにバルコニーを通じて1階の室内に雨漏りが発生していた。
雨が上がった後もバルコニーの表面がなかなか乾きにくかったり、上裏(上階にあるバルコニーの裏側の面)を下から見上げたときにシミができていたりしたら、内部に浸水している可能性が高い。これを放置していたところ、住宅の雨漏りの原因になり、バルコニーはおろか、建物を解体して丸ごと作り直すことになったケースがある。内部の腐食に気づかず、突然バルコニーの床や手すりが落ちた事例も。定期的にメンテナンスせず、被害を拡大した。