そもそも政府がまず行うべきだったのは、所得制限などは設けず、とにかくすばやく国民全員に低金額の現金を配ることでした。布マスク2枚と一緒に小切手で配ればよかったのです。そして、あとからマイナンバーを使って確定申告をしてもらい、新型コロナの影響を受けていない層や富裕層からは返納してもらう。そのような「とにかく配って、あとから返す」という迅速な対応を、マイナンバーを使って行うべきでした。そうすれば、これを契機にマイナンバーが一気に普及してデジタルシフトが進むメリットもあります。

新型コロナが長引けば、これからいろいろなことをデジタルで行わなくてはならない未来がやってきます。究極的にはインターネットで投票などもできるようにならなくてはいけません。1カ所に人が集まり、同じ鉛筆を使って投票することほど危ないことはないでしょう。インターネットでの投票を実現させるためには、個人認証制度が必須となってきます。マイナンバーはそのためにも必要です。

例えばインドでは個人認証制度が進んでいて、総人口約12億人のうち、11億人が指紋と瞳孔だけで認証ができるようになっています。日本でも生体認証を進める議論はありましたが、反対の声が強く実現には至りませんでした。

しかし、デジタル社会においては、個人認証システムこそが最も重要な社会インフラであり、それが日本の場合はマイナンバーなのです。

今、新型コロナを機に世界各国でデジタルシフトの波が起こっているにもかかわらず、今のところ日本は出遅れています。なんにせよ、アフターコロナに日本がするべきことはデジタライゼーション(情報・技術などのデジタル化)です。それには従来以上にスケールの大きい大胆な改革が必要になることは間違いありません。

日経平均は今後どうなるのか

さて、今、新型コロナで急落した日経平均株価やニューヨークダウ平均株価が戻りつつあります。バブルのようにまた下がるかもしれませんし、集団抗体ができるであろう1年半後くらいまで株を持ち続ける自信が投資家たちにあるならば、株価は上がり続けるでしょう。どちらの可能性もあると思っています。

一方で、J-REIT(日本版不動産投資信託)はむしろ下がっています。これから在宅勤務や遠隔医療などが進んでいくのを人々が見越しているのか、八王子や多摩ニュータウンといった郊外ではすでに人口が減ってきています。「日本創成会議」座長・増田寛也氏が試算・発表した消滅可能性都市についての資料では、2025年に東京の人口が減ると警鐘を鳴らされていますが、郊外の人口も含めて考えないと意味がないでしょう。