筆者の友人に、北京に住む40代前半の独身の女性がいるが、その女性は中国国内の大学を卒業後、日本の国立大学の大学院に留学。その後、日本で5~6年働いてから中国に帰国。現在は中国の日系企業で管理職を務めているが、「仕事に夢中になっていたら、いつの間にか40代になってしまっていた」と話していた。

決して結婚したくなかったわけではなく、30代半ば頃には中国の複数のお見合いアプリに登録したこともあったのだが、「中国では学歴詐称や、顔写真の修正をする人が多すぎることに辟易としたし、結婚紹介会社からの勧誘もすごすぎて、面倒臭くなってしまった。別にもう無理に結婚しなくてもいい」と話していた。

マンションを買えない男性は見向きもされない

中国では日本の比ではないくらい、両親が口うるさく子どもの生活を干渉し、「いつになったら結婚するの?」「早く孫の顔を見せて」と子どもを責め立てる人が非常に多いが、中国は人口が多いからといって、出会いの場も多いわけではない。男女が知り合うのは大学のキャンパスや職場などが中心で、それ以外はお見合いアプリなどを利用する人が多い。

さらに、日本とは大きく異なる点として、「どこの出身で、どんな戸籍の人か」は結婚する際の大きな条件となっている。なぜなら、北京や上海などの大都市に住むなら、その都市の戸籍を持っていないとマンションを購入することができず、一生苦労することになるからだ。中国では結婚=マンション購入が普通のことなので、最初からマンションを買えない男性は女性から見向きもされない。農村出身の男性は、それだけで結婚のハードルは非常に高くなるのだ。

北京や上海には、出稼ぎ労働者に限らず、大学入学の際などに他省からやってきた人(ホワイトカラーの会社員)が数多く住んでいるが、「地元の人ではない」というだけで、社会的条件として不利になり、同じ都市に住む異性からは敬遠される傾向がある。そうした、中国人以外には分かりにくい壁が存在することも、彼らの結婚を阻んでいる要因の一つといえる。