理由は「わがままな若者が増えた」から?

政府の統計によると、中国の離婚率は2003年から上がり始め、2018年は3.2%と日本(1.68%)の約2倍だった。過去15年間、右肩上がりで増えている。人民網などの報道によると、1994年の婚姻法では離婚の際、雇用主などの承諾が必要だったが、それが2003年に撤廃され、自由に離婚できるようになった。そのため、その頃から目に見えて離婚が増えているのだ。

今年は新型コロナウイルスの影響で巣ごもり生活を余儀なくされたこともあって、中国でも「コロナ離婚」が急増。中国メディアなどによると「今年の離婚率はさらに上昇するだろう」という悲観的な見方も出始めている。

離婚が増えている背景について、上海に住む別の友人はこう分析する。

「一言でいうと、わがままな若者が増えて、結婚生活に必要な我慢や譲歩ができない人が多い、ということだと思います。今の30代以下は基本的に一人っ子ですから、自分がいちばんだと思って、未熟なまま大人になってしまう人が多い。だから、ちょっとでも気に入らないことがあれば、すぐに離婚する。都会の若者は親が不動産を持っていたりしてお金に不自由しませんから、別に離婚しても困りませんしね」

身も蓋もない意見だが、同様の声は他の複数の友人からも聞かれた。世代ごとの離婚率の統計が分からないため、一概にはいえないが、熟年離婚もないわけではない。だが、40代以上の中国人は30代以下の中国人を「わがまま」「自分勝手」と表現する人が多く、離婚の要因についても同じように語る。

結婚適齢期にある「90后」の特徴

日本でも一時期よく報道されたことがあるが、中国には「80后バーリンホー」という言葉がある。80年代生まれのジェネレーションを指す言葉で、日本でいうと(世代は異なるので同列ではないが)、1980年代にはやった「新人類」という言葉のイメージに近い。

それまでの世代にはなかった特徴がある新しい世代が出現した、という意味で捉えられ、上の世代から見れば「自分たちには到底理解できない若者」と映る。「80后」以降は「90后」(90年代生まれ)、「00后」(2000年代生まれ)となり、世代が若くなればなるほど、わがままで個人主義だといわれるが、そのうち、ちょうど「90后」前後が、現在、結婚適齢期にぶつかっているのだ。

「わがまま」を定義するのは難しいし、主観的な問題にもつながってくるので、それだけで離婚が多いと簡単に片づけることなどできないと思うが、中国社会特有の背景としていえることは、中国では改革開放がスタートした1979年末(実質的には1980年)から「一人っ子政策」が導入されたことだ。