「リモートワークはうまくいかない」という人がいる。なぜそう思うのだろうか。20年にわたりリモートワークを活用している経営者のジェイソン・フリード氏らは「よく指摘されるのは『ミーティングができない』『サボっているかもしれない』という2つだ。だが、どちらも簡単に解決できる」という――。

※本稿は、ジェイソン・フリード&デイヴィッド・ハイネマイヤー・ハンソン『リモートワークの達人』(早川書房)の一部を再編集したものです。

企業の会議に不幸な実業家
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20年にわたりリモートワークを続けてきた

僕らの会社「ベースキャンプ(元・37シグナルズ)」では、20年にわたりリモートワークを活用している。当初のメンバーは、コペンハーゲンとシカゴに1人ずつ。そこから順調にリモートで成果を上げてきた。現在では世界各地の36人のメンバーが僕らの会社で働いている。僕らが提供しているプロジェクト管理ツールのユーザー数は数百万人、世界中のあらゆる国が僕らのフィールドだ。

そうした経験をもとに、リモートワークがいかに豊かで自由な世界かということを紹介したい。

オフィスにいると「印象」で評価が決まってしまう

リモートワークのメリットのひとつは、仕事そのものが評価の基準になることだ。

1日中そばにいて見張っている環境では、ささいな勤務態度が成績評価に影響してくることも多い。

「9時ぴったりに席についていたか?」
「休憩が多すぎないか?」
「通りかかるたびにフェイスブックを開いている気がするぞ」

マネジャーはいつも、そんな些細な問題に気をとられてしまう。仕事ではなく、印象でその人の評価が決まってしまうのだ。

でもリモートワークなら、そんなことは気にならない。

大事なのは「今日何をやりとげたか?」ということだけだ。何時に出社して何時に帰ったかは問題じゃない。どんな仕事をしたかが問題なのだ。

あなたがマネジャーなら、部下に「今日やった仕事を見せてくれ」というだけでいい。給料に見合うだけの仕事をしているかどうか、その目でたしかめるのだ。それ以外のささいなことは、会社にとってはどうでもいい。

とてもシンプルで、明快だ。

こういう物の見方をしていれば、誰が会社に貢献していて、誰が足を引っ張っているのか、本当のところが見えてくる。