発達障害を抱える人の中には、家族や職場に症状を理解してもらえずに悩む人がいる。精神科医の岩波明氏は「必ずしもカミングアウトしたり、理解してもらったりする必要はない」という。なぜなのか——。

※本稿は、岩波明『医者も親も気づかない 女子の発達障害』(青春出版社)の一部を再編集したものです。

処方箋の説明をする医師
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理解しない相手に対してどう接するべき?

発達障害について理解しようとしない家族や職場とは、どう接するべきなのでしょう。

特に家族の反応は両極端です。非常に保護的で、発達障害のことも良く理解した上でサポートしてくれる家族もいる一方で、まるで無関心だったり、発達障害を否定しにかかったりする家族もいます。そのように最初から理解を拒否しているような人たちに理解を求めるのは、なかなか難しいのが現実です。

それでも、日本社会において発達障害の理解が少しずつ浸透してきているのは確かです。以前は精神科の医師にすら、「発達障害なんて、そんなもの本当にあるの? メディアの話題づくりでは?」と平気で言う人が少なからずいたことを思えば、大きな進歩です。

最近の日本社会においては、発達障害という現象が実在することや、どんな症状が表れるのかなどについて、理解されてきているという実感があります。しかし、ここで大切なのは、「必ずしも理解し合わなくても生活は続けられる」ということです。