高まる朝鮮半島の緊迫感と、限界を迎える韓国経済

今後、朝鮮半島情勢の緊迫感は高まる恐れがある。過去、北朝鮮は、国内が窮乏すると対外強硬姿勢を強めた。その後、ある程度時間が経つと北朝鮮は手のひらを返したかのように表向きは“核の放棄”を宣言して強硬姿勢を取り下げた。

それによって北朝鮮は韓国の支援を取り付けて世論を落ち着かせ、独裁体制を維持した。その裏側で、北朝鮮は秘密裏に核開発を続けた。

金一族は、独裁体制を維持するために核を手放せない、と指摘する安全保障の専門家は多い。北朝鮮は対韓強硬姿勢とその取り下げを繰り返して韓国からの支援を引き出し、核開発と体制維持を目指すだろう。米国が制裁を続ける姿勢を明確にしているのは、そうした考えからだ。

当面の展開を考えた時、制裁の影響などによって、北朝鮮の経済と社会は一段と厳しい状況を迎える可能性がある。その場合、北朝鮮は韓国への強硬姿勢を強化するなどし、朝鮮半島の緊迫感は高まるだろう。

もし、その展開が現実のものとなった時、日米との連携強化が難しい韓国は、かなり厳しい状況を迎えるだろう。コロナショックや米中対立の先鋭化などによって、世界経済は低迷している。輸出依存度の高い韓国が景気持ち直しを目指すことは難しい。これまでの韓国経済を支えてきた利下げをはじめとする金融緩和策も限界を迎えている。

北朝鮮リスクが日本にも襲いかかる

韓国の所得・雇用環境は悪化し、経済格差はさらに深刻化する恐れがある。所得・雇用環境の悪化を食い止められない文政権に世論は苛立つだろう。その結果、労働争議が激化し企業の海外脱出が加速化する展開は排除できない。

そうなると、韓国世論は北朝鮮政策よりも、自国の経済対策を徹底するよう為政者に求めるだろう。その一方で、北朝鮮は2018年9月の平壌宣言を韓国が実行できないことに腹を立て、再度、軍事挑発などの対韓強硬姿勢に舵を切る可能性がある。

そうした展開を絶つには、韓国世論全体が北朝鮮のリスクに目を覚まし、自国経済の持続的な成長のために何が必要かを真剣に考えることが求められる。

北朝鮮リスクはわが国にとっても無視できない。わが国は韓国の教訓をもとに、構造改革を進めて高品質の素材などの競争力を発揮し、世界各国からのリスペクトを得なければならない。

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