周りが困っていることにもいち早く気づく

コミュニケーションにおいても、相手のちょっとした表情の違いや声のトーンなどを、非繊細さんよりも細やかに見分けます。そのため、周りが困っていることにもいち早く気づくのです。

繊細さんには「深く考える」という性質があります。「このままだと後々困るのでは」というシミュレーションも得意です。そのためほかの人たちよりも、いち早くリスクに気づいて防ぐ行動をたくさんしています。その結果、周りの人を助けすぎてしまうことがあります。

それ自体はいいことなのですが、繊細さん本人がそのことに苦しんでいたらどうでしょう。たとえば、職場のシーンだと、困っている人に気づくたびに手伝ってしまい、自分の仕事に手が回らなくなることもあります。はたから見れば「真面目でよく働いてくれる人」ですので、仕事がたくさん舞い込んでしまうこともあるでしょう。共感力が高く相手を思いやったコミュニケーションをとれるからこそ、癖のある人と仕事を組まされるケースもあります。

この場合、本人が苦でなければ何も問題がなく「真面目で思いやりのある素敵な人」なのですが、本人は苦しいと思っているのに無理に引き受けてしまえば、悪い意味で「いい人」になっているといえます。両者の分かれ目は、「自分が苦しいかどうか」なのです。

繊細ゆえに自分が無理に「いい人」になっていると気づいた場合、どうすればよいでしょうか。まずは、HSPについて知ることが第一歩です。私も今の仕事に就く前は、仕事に対して苦しさを感じていました。

私は理系の技術者としてメーカーで商品開発をしており、細かいことは気にせず次々に実験できる人のほうが向いている職場でした。周りを見れば、先輩は要点を絞って要領よく実験しているし、後輩は失敗してもどんどん実験しているという環境。私の場合はあらかじめ時間をかけて準備して、間違いがないよう様々な調整をしたうえで実験をスタートするので、自分では仕事が遅いと感じていました。よく考えて行う分、結果としては評価されていたのですが、ひたすらスピードが求められる職場を苦しいと感じていました。

当時HSPを自覚していなかった私は、ほかの人と何が違うのかがわからず、「なんでみんなはあんなにタフなんだろう」と思っていました。長時間労働のなか、ストレスが積み重なり休職。アーロン博士の本を読んで、自分はHSPだと気づいたのです。周りの人がタフだったわけではない。「自分が感じていたストレスの量が、ほかの人よりもはるかに多かったのだ」と認識できました。