河井夫妻の自民党離党は「トカゲの尻尾切り」だ

6月19日付の朝日新聞の社説は「河井夫妻逮捕 政権の責任は免れぬ」との見出しを付け、こう書き出す。

「8カ月前には法務行政をつかさどる法相の立場にあった衆院議員が、妻の参院議員とともに、大がかりな買収容疑で逮捕された。民主主義の土台である選挙の公正さと、政治への信頼を深く傷つける前代未聞の事態である」

「前代未聞の事態」であることは間違いない。では前代未聞の事態の元凶は何なのか。その元凶をどうあらためていくべきなのか。このあたりを朝日社説はどう主張していくのか。

「昨年10月、案里議員の陣営が車上運動員に法定上限を超える報酬を支払っていたことが明るみにでて、克行議員は法相を辞任した。以来、説明責任を果たすといいながら、広がる疑惑に対し、夫妻が口をつぐんだまま今日に至ったことは厳しく批判されねばならない」

なるほど、河井夫妻は説明責任を果たしていない。口をつぐんだままだったのは、安倍首相とその周辺の指示があったからではないか。

「逮捕される直前になって、そろって自民党を離党したが、これも党に迷惑をかけたくないという理由からであり、政治責任の重さを全く理解していないと言わざるをえない」

離党は河井夫妻の逮捕を事前に察知した安倍首相サイドからの指示だったに違いない。過去の疑獄事件では容疑のかかった国会議員の大半が逮捕前に、自民党を離党している。彼らの離党の理由は「党に迷惑をかけたくない」ではなく、自民党からの「党に迷惑をかけるな」との指示だ。そう考えると、トカゲの尻尾切りそのものである。

朝日社説はもっと厳しく安倍首相の責任を問うべき

最後に朝日社説はこう主張する。

「少なくとも首相と党執行部の政治責任は免れない。党の提供資金とは無関係というのであれば、具体的な使われ方を、納得できる根拠とともに示してもらわねばならない」

安倍首相に政治責任があるのは当然だ。河井夫婦に選挙違反行為をさせた責任は安倍首相にある。それを安倍首相は分かっていない。朝日社説はもっと厳しく安倍首相の責任を問うべきだ。それが朝日社説の本分だろう。