東京の感染者数は「氷山の一角」だ

日本の新型コロナウイルス感染症(COVID-19)は一旦収束しています。けれども、東京に20人、50人発生しているじゃないか、東京の抗体保有率は0.1%にすぎないと不安に思われる方も多いでしょう(※1)。「発症者があふれている東京から、流行していない当県への出張は最小限にしてほしい」と言われてしまったと出張がえりの患者さんも頭をかきながら嘆いていました。

5月1日からの東京都の感染者数。東京都発表より作成
5月1日からの東京都の感染者数。東京都発表より作成(画像提供=大和田潔)

6月24日時点での東京の感染者数です。このような図表を見せられれば、だれでも感染が収束していないように思います。次に、こんな図表はどうでしょう。日本の流行の全体図の中に組み込んでみました。東京の流行は山のすそのの一部でなだらかになります。

2月15日からの日本と東京の感染者数の推移
2月15日からの日本と東京の感染者数の推移(画像提供=大和田潔)

さらに、アメリカと並べたこの図はどうでしょう? 日本の流行の増減を確認することは難しくなります。この3枚のパネルは衝撃的ではないでしょうか?

2月15日からの米国と東京を含む日本の感染者数の推移(米国:緑、日本:黒、東京:赤)
2月15日からの米国と東京を含む日本の感染者数の推移(米国:緑、日本:黒、東京:赤)画像提供=大和田潔

米国の人口は3億人で日本の約3倍ですが、6月下旬でも連日数万人が新規発症していて、累計で200万人を大きく超えています。日本の新規発症数のピークは1000人以下でした。PCRを十分に行ったとしても、さすがに連日1万人にはならなかったと推測されます。

国による流行のイメージが全く異なることをご理解いただけたものと思います。日本は、大きな経済損出被害を計上し多額の補償費が必要になりました。さらに検証すべき点は、6月の発症者は、合計200~300人に達していながらその2割、40~60人が病院に担ぎ込まれてはいません。日本のメディアの報道の偏り、日本の状況を鑑みないパンデミックした諸外国を引用した発言の独り歩きが続いていることが確認できるでしょう。