妻の想いをかなえたくて無理をする年収1000万円の末路

住友不動産の高級賃貸マンションである、ラ・トゥールシリーズは「代官山」だと、2LDKでも家賃が約190万円になります。最上級を旨とするラ・トゥールの中でも屈指のラ・トゥールが「代官山」です。その圧倒的な“ステータス”に憧れる妻の要望にできるだけ添いたいと、代官山ではないけれど、「神楽坂」を選択すれば、約35万円と約6分の1の家賃となります。そこに、福利厚生の手当を当てれば、収入の3分の1を家賃に充てる理論が当てはまります。最高級ではないけれど、同じブランドを選ぶという消費行動の典型例です。インタビューの中で感じることは、年収の高まりとともに、周りの期待にも応えていこうとする、サラリーマンの姿がそこにはあります。“やせ我慢の生活”と言われつつも、「幸せ」の形を垣間見た気がします。

一般的なサラリーマンの平均年収の5倍にあたる、2000万円が平均年収を誇る、電子機器関連の企業で働く30代男性は、「地方勤務なので、都内でお金を使わない分を車にお金を充てています。そのため、ポルシェマカンを新車で買いました。同僚もジャガーXJに乗っています」と述べる。

5年落ちのBMW3シリーズを残価設定ローンで購入…

年収がUPすると外車に乗り換える人たちがいるようです。また、年収1000万円と言っても、都内と地方勤務では、違いが伺えます。富裕層の自覚の芽生えから「外車」へ乗り換えるものの、都内勤務の方では、車を中古で買うケースも見られます。「国産車から乗り換えて、5年型落ちのBMW3シリーズを残価設定ローンで購入しました」(30代・広告代理店)と、まさに“やせ我慢消費”の姿を述べてくれた方もいました。

外車は国産車と比較すると修理代、メンテナンス代が高くなりがちで、場合によっては国産車の2~3倍の金額がかかることも珍しくありません。修理・メンテナンスに必要な部品を海外から取り寄せなければいけないことが多く、部品代に輸送費が含まれるため修理・メンテナンスが高くなるのです。購入時の金額だけでなく、維持費も高い外車をあえて選ぶ方々は、「小さい頃からの憧れ」「デザイン性が気に入っている」と自分の趣味嗜好を謳歌しているように感じた。

所有にこだわらない「シェア」を好む若者が増えてきていると感じていましたが、若い世代にも「所有すること」を大事にして生きている人たちもいるのです。