台湾政府、企業、市民一人ひとりが頑張った結果だ

黄さんは感染拡大防止の本丸である中央感染症指揮センターに親近感を持つことで、義務に対し「押しつけられた」ではなく「自ら協力する」という気持ちが強くなったように感じているそうだ。

黄さんだけでなく先述の2人も「中央指揮センターはよくやってくれた」「政府も企業も市民も一人ひとりが頑張った結果だと思う」と述べている。台湾メディア三立新聞によると5月に行われた世論調査では陳時中・衛生福利部長の支持率は94%を記録したと報じられている。

ここから見え隠れするのは社会に対する信頼感ではないだろうか。台湾はSARSの経験から、感染症対策に対し政府も市民も高い意識を持ち、適切なタイミングで適切な対策が講じられてきた。

日本の「平常運転」が待ち遠しい

だが今回、「コロナの優等生」と称されるほどの結果を得た要因は、SARSの教訓による具体的な対策の成果だけでなく、政府や企業など「感染拡大防止措置を講じる側」と、「市民」の信頼関係が早い段階で構築され、社会全体が一丸となって感染症との戦いに臨んでいた点も無視できないだろう。「感染拡大防止への協力は当然」という意識を継続して持つことで、穏やかなウィズコロナ時代を迎えようとしているのだ。私たちが今すぐ取り入れられることがあるとしたら、この点ではないだろうか。

日本では近年、国を震撼しんかんさせるほどの感染症流行はなく、そのため新型コロナウイルス流行の初期では戸惑いや混乱があり、政府の対応に不安の声が少なからず聞かれた。だが幸いなことに日本でも新型コロナ流行のピークは過ぎ、ウィズコロナ時代に入りつつある。「感染症との戦いは一人ひとりが協力し、社会全体で行うものだ」という意識をさらに生活に落とし込み、懸念される再流行に備えながら日常を取り戻していきたい。

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