「店長にとって飯のタネとは」

「おまえの飯のタネは、人を育てることだ」。

ホスピタリティ&グローイング・ジャパン代表取締役社長 有本 均氏
ホスピタリティ&グローイング・ジャパン代表取締役社長 有本 均氏

当時の営業部長の一言を今でも覚えている。マクドナルドの店長に就任したときのことだった。「『店長にとって飯のタネとは』と聞かれ、まごついた。『利益を上げることですかね』と答えたら、返ってきたのがこの言葉でした」。

部長の言う通りだった。バブル崩壊、リーマンショック、3.11。サービス・飲食業界には何度も売り上げ急落の激震が走ったが、マクドナルドは徹底したQSC(クオリティー、サービス、クリンリネス)で生き延びた。お客様、仲間への心遣いと笑顔、“人間力”を磨く育成システムがあったからだと振り返る。

今、サービス業界は二重の試練に遭遇している。コロナ禍による経営難だけではない。経済活動が本格的に再開すれば、深刻な人手不足に直面することになる。だからこそ、どんな人も辞めさせず戦力化する“仕組み”が必要と語る。

人材育成のノウハウは長年の経験で培った。マクドナルドでは企業内大学のハンバーガー大学学長に就任。ファーストリテイリングのユニクロ大学責任者を経て、研修事業会社を創業した。