癒着ができない記者はダメな記者

今回の賭けマージャンはそんな記者と当局との癒着関係を最高レベルまでズブズブにした行為と言えよう。なぜなら、当局側の違法行為を目撃しているからだ。飯をおごるとかそういうレベルではない。それほど重大な弱みを握っているのだから、どんなネタも当局から引っ張ってこれる。それでも、そのネタモト本人を糾弾するような記事は書けない。それは、新聞社にはネタモトを絶対に守るという鉄のおきてがあるからだ。そうして今回、週刊文春に見事癒着関係を書かれてしまったわけだ。

しかし、権力と癒着できない記者も多い。そういった記者は“ダメな記者”認定されてしまうのだ。

地方支局では、どんなに、読んでいて楽しくなるような記事や、地方で健気に頑張る人の記事を書いても、テスクから言われるのは「で、君は当局からなんかネタはとってきたの?」だ。とくに日本の新聞社は当局からの情報を重んじる傾向が強い。当局は嘘を言うわけがない、という批判意識ゼロのねじれた性善説のもと、社内で意見が割れていても、当局がそう言っているだからそう書こう、と判断を下した現場を何度も見てきた。

記者クラブは癒着の温床

だからこそ、当局から降ってくる情報を各社公平に受け取るために記者クラブが存在する。日本の新聞社が談合せず、それぞれが独自取材をしていたら、記者クラブなどという癒着組織はそもそも不要だ。マスコミ各社が公平に権力と癒着するためにあるのが記者クラブだ。

そんな権力との癒着の成れの果てが、今回の産経新聞と朝日新聞だ。おそらく、検事長と賭けマージャンができるのだから、その記者たちの社内評価はベラボウに高かったのであろう。文春に怒られたので慌てて謝罪文を考えたのが見え見えだ。

朝日新聞なんぞ、元日産自動車CEOのカルロス・ゴーン氏の逮捕を当局の捜査関係者からスッパ抜いた。どんな手で情報を入手したのかはしれないが、ゴーン氏の乗った飛行機に捜査員が突入する瞬間を撮影しており、当局の協力なしではこんないろんな意味で呆れるようなスクープは打てなかっただろう。