もう1つ重要なことは、お客さんとどれだけコミュニケーションをとるかです。

小売りに限らず、仕事とは何らかの価値を最終的に使ってくれるお客さんに伝え、理解してもらう活動です。そこでお客さんとキャッチボールをしていると、新しい発想をどんどんもらえるし、自分磨きにもつながります。


「バラの家」では、プロセス写真を多用し、初心者にも育て方がわかるようにきめ細かく解説されている。バラ好きにはたまらない満足感を味わえるよう工夫されている。

その年のベストショップに贈られる楽天市場ショップ・オブ・ザ・イヤーを3年連続で獲得した「バラの家」というバラ専門店があります。この店の特徴は1000種類ものバラの品揃えと、お客さんからの質問件数。バラの育て方について、多いときには1日100件もの質問が届きます。

バラ苗の販売は、同時に育て方も一緒に伝えることが求められている。お客さんはバラ苗がほしいのではなくて、バラを育てる楽しさをほしがっている。お客さんとのやり取りからそう気づいた「バラの家」では専門性を活かし1つ1つ返事をして、バラ栽培の実践コミュニティをつくっていったのです。

現在は大企業が本気でネットに進出し始めていて、価格競争では中小のお店に勝ち目はありません。しかし、大企業の人は手間のかかることや売り上げとの因果関係が見えにくいことはやりにくいので、「バラの家」のような取り組みは手がけにくい。

つまり、「バラの家」は自らの強みを認識し、その価値をうまくお客さんに伝えていったといえます。これこそ一生困らない学び方で、自分の強みを客観的に理解し、それを発揮してお客さんに伝える「とんがった部分」を磨いていくことが大切だと思います。

また、継続していくには楽しくやることが重要で、楽しく仕事をしていると会社の雰囲気もよくなって、みんなが仕事をしやすくなります。楽しく仕事をしているかどうかは売り上げの成長とも因果関係があると感じます。