テレワークで14時間半労働のカラクリ

それから私は、高橋名人と名付けたテキストファイルを開き、キーボードに目を落とし、文字列を眺めます。

「これで一応働いていることにはなる」ダイス氏の偽装テレワーク法
「これで一応働いていることにはなる」ダイス氏の偽装テレワーク法(筆者撮影)

「今日はどれにしよっかな~。昨日はAだっけ? Fだっけ? ど~でもいいや~。そーれカミサマノイウトオリ! Yに決定だぁぁぁぁ!」

そして、先ほどのペットボトルの中身を一気に飲み干し、キャップを「Y」の上にそっと載せます。さらにその上に重しの灰皿を載せると、ディスプレーには小文字の「y」が連打されてゆく——。その光景を眺めながらタバコも押し付けてみます。テレワーク用のVPNは一定時間操作がないと自動で切断されてしまう。切断されると、他の社員からは私のアイコンが非アクティブと表示され、最終ログイン時間からサボっていることがバレてしまうのです。

私は、自室に戻り、ベッドに横になりスマートフォンを眺めます。まず、昨晩の妻からの怒りのメッセージ履歴をすべて削除。バーの美女からメッセージが来ていたので外で会う約束を具現化するための駆け引きメッセージを送信し、SNSやまとめサイトを周回します。それから、言いようのない多幸感の中、眠りに落ちました。

次に目を覚ましたのは、14時くらいでした。そして今、この原稿を書き終えるところです。会社の業務よりも断然身が入りますね。

あれから、バーの美女から返信が来て、急遽きゅうきょ、焼肉を食べに行くことになりました。顔のむくみをとるために今からサウナに行ってきます。朝送った仕事のメールが返ってきていますが、明日意識が戻り次第、やろうと思っています。

* * *

信じがたい告白の数々に驚愕、卒倒した読者も多いだろう。しかし、それが現実なのだ。そして、この告白を無きものにするのではなく、事実をもとにして、日本の経営者たちに在宅勤務のマネジメント改善を求めていきたい。労使がともに働きやすい環境を進めていくのが、このコロナ禍を脱し、日本が改めて成長の道へ戻る方策ではないのだろうか。いま、日本社会の胆力が求められているのだ。

※お詫びと訂正 本記事は、2020/04/15に編集途中で誤って配信されたため一度取り下げ、あらためて加筆・修正し、配信したものです。

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