サウナにビールにガールズバー

調子が出た私は、サウナ内のレストランで生ビール2杯とカレーを平らげ、新宿のゴールデン街に行きました。女優志望とかいうハタチそこそこの美人が立つバーです。彼女を目当てに、このバーには半年ほど前から通っています。外出自粛の風潮になる前は、私と同様に彼女を目当てにした客で店内はいつも満席でしたが、昨日は彼女と2人きりでした。

テレワーク中にサウナで汗を流し、ビール2杯とカレーを平らげた。
筆者撮影
テレワーク中にサウナで汗を流し、ビール2杯とカレーを平らげた。

時間を気にする必要のないガールズバー状態で彼女を独占。お互いの共通の趣味で盛り上がり、LINEの交換と外で会う約束まですることができたので大収穫でした。この時点で、私は思考が鈍くなってきていました。まだまだ彼女との会話は盛り上がっていましたが、酒癖の悪い私は、彼女に好印象を残したまま店を出ることにしました。

店を出た私は、すでに帰宅している妻に、電話でリビングにある私の社用のパソコンをシャットダウンするよう指示をしました。妻はヒステリックに不平を叫んでいましたが、指示通りにやってもらうことができました。時刻は22時半です。この時刻が退社の実績になります。パソコンを起動したのが、朝8時なので14時間半が勤務実績になります。標準労働時間が7時間半なので7時間も残業したことになります。7時間の残業実績の大収穫です。さらにテンションが上がった私は、もう一軒、馴染みのバーに向かいました。ここで昨晩の記憶は途絶えます。

テレワーク中に二日酔いで嘔吐した

ふと我に返りました。ベッドから床を見下ろすと、昨日着ていた服や記憶にないコンビニ袋、ペットボトルやカップ麺が散乱していました。布団からところてんのように抜け出し、床を這いつくばり、服を手繰り寄せ、ポケットを乱暴にまさぐります。財布とスマートフォンがあることを確認できましたが、あえて見ないでおきます。お金が減っていることと妻からの怒りのLINEが怖いからです。スマートフォン、タバコ、ライターをスウェットのポケットに入れ、重い頭を引きずりながら自室から廊下に出ました。玄関のほうに目をやり、妻がすでに仕事へ出かけたことを確認してから、私はリビングへ向かいました。

テーブルの上に置かれた社用ノートパソコンを立ち上げ、テレワーク用のVPNに接続します。時刻は10時を回っていました。接続に時間がかかっている間に、尿意を思い出してトイレに向かいました。用を済ませ、リビングに戻り、冷蔵庫からミネラルウォーターのまだ封を切っていない2リットルのペットボトルを取り出し、そのまま口をつけて飲みます。手でペットボトルに軽く圧をかけながら、一気に流し込むと胃から嫌な感覚が込み上げてきました。反射的に流し台に頭をつっこみ、2度3度咆哮してすべてを吐き出しました。それから、口をゆすぎ、タバコに火をつけてパソコンの前に座りなおします。VPNへの接続は完了していました。そして、タバコの煙をディスプレーに吹きかけながらメーラーを確認します。外注業者からのアウトプットに適当に難癖をつけて新しいタスクを投げ、部下に仕事を指示、上司に業務報告のメールをしました。これらは、通常1回で済むメールを複数回に分け、さらにタイマーを設定して時間差で送信します。